こんにちは。くらそうねライターの豊田有希です。

第30回の2月(如月)。
2月といえば、1年で一番冷え込む時期ですね。
そんな時期に行われるのが「味噌仕込み」です。
今回は【番外編】ということで「味噌仕込み」についてご紹介いたします!

ここ山梨県の身延町特産品のあけぼの大豆は、11月下旬から12月に収穫・乾燥をして、1~2月にかけて味噌仕込みが行われます。
町内ではあらゆるところで味噌仕込みイベントが行われ、中には幼稚園生の味噌仕込みイベントも!
みんなでワイワイ楽しく味噌作りができます。

まずは、味噌仕込みの様子をご紹介する前に、今日の主役の「あけぼの大豆」についてご紹介します!

こちらがあけぼの大豆。実が大きくて見るからに美味しそう!

昔からこの地域(山梨県の南巨摩郡)は大豆や小豆等の作付けが多く、特に良質な大豆が生産されるため、栽培が盛んだったそうです。

あけぼの大豆は身延町の中でも、旧中富町の在来種(その土地に古くからあった種)と言われ、その起源は明治時代頃に関西地方から導入されたという説があります。
あけぼの大豆は豆がとても大きく、粒を10粒並べると6寸(約18cm)になることから、別名「十六寸(とうろくすん)」とも呼ばれているそうです。

特徴としては2つ。
まず粒の大きさ。
百粒の重さが約60gあり、通常の大豆の2倍というから驚きです。
大粒な大豆として有名な丹波の黒豆に次ぐ大きさ。

「あけぼの大豆」「タマホマレ」「丹波黒」の比較。
身延町HPより

次に、糖度が高くて美味しいこと。
糖含有率が24%で、通常の大豆(21%)と比べて約1割高いそうです。

このあけぼの大豆で作るお味噌、絶対に美味しいに決まってますよね。

絶品の枝豆はリピーター多し!

あけぼの大豆は、6月下旬に種まき、枝豆として収穫するのが10月初旬~中旬なので、枝豆の旬はなんと10月なんです。
枝豆と言えばすっかりビールのお供というイメージがあるため、よく驚かれます。
実は丹波の黒豆の枝豆も10月が旬なんですよ。

…あれ?大豆と枝豆ってイコールなの??と思う方もいらっしゃるかもしれないですね。
もしくは、「枝豆と大豆ってどう違うの?」という方のために、ちょっと解説を。

枝豆と大豆はイコールなんです。

枝豆は大豆が生長する過程の「未熟な状態」
枝豆として収穫をせずに枝につけておくと、成熟して大豆になるんですよ。

あけぼの大豆の枝豆は、栗や芋のようなホクホク感と甘みが味わえるその美味しさからとても人気があり、一度食べるとリピーターが多く、毎年楽しみに待つファンがたくさんいます。

ただ一方で、過疎が進んだ身延町では栽培者が減り、なかなか市場に出回らないことから「幻の枝豆(大豆)」と言われています。

何味噌がお好き?

みなさん、お味噌汁は好きですか?
何味噌を食べていますか?

味噌は、煮た大豆に麹をつけて、半年から数年発酵させたものです。

味噌の原料は、大豆、麹、塩の3つだけ。
地域によって味噌は材料も色も違いますね。
米味噌、豆味噌、麦味噌、白味噌・・・と分類されるのだか。
色も、白味噌、赤味噌、淡色味噌などに分かれます。

味噌にはこのように様々なバリエーションがあるのですが、大きな違いは「麹の種類」

麹はお米や大麦などに「麹菌」という特殊なカビの一種をくっつけたもので、この麹が大豆を発酵させて、味噌に変化します。
大豆にくっつける麹の種類が地域によって様々ということですね。

例えば、名古屋は大豆麹を使った八丁味噌。
関東や東北は米麹。
九州味噌は麦麹を使っています。

一般的に味噌に使う麹は一種類のみで、日本では米麹が主流。
しかし山梨県は甲州味噌と言い、麦麹と米麹の両方をブレンドするとても珍しい味噌なんです。
コーヒーで言うとブレンドコーヒーというところでしょうか。
麦と米の麹を半分ずつ入れます。

甲州味噌は、戦国武将・武田信玄が考えたと言われています。
甲府は狭い盆地で斜面が多く、稲作にあまり適していません。
そのため、麹の材料になる米が足りず、麦を育てて米と麦の麹をブレンドしたという説が。(諸説あります)

信玄公の知恵から作られたかもしれない甲州味噌、と思うとなんだかロマンを感じますね。

あけぼの大豆の味噌仕込み

それでは、お味噌仕込みの様子をご紹介します。

むかし、お味噌は手付け菌といって、それぞれの手についた菌も入れて作るものと言われていました。
でも今は衛生面も大事なので、きっちりと手袋をして作業していきます。

今回仕込んだお味噌の材料はこちらです。
量を少なくしても作ることができますよ。

【材料】

  • あけぼの大豆 25キロ (前日に水につけておきます)
  • 米麹     11.5キロ
  • 麦麹     16.5キロ
  • 塩      12.5キロ

これで合計100キロのお味噌ができあがります。(大豆の状態から4倍になる)

味噌仕込みの会場は、廃校になった小学校。
学校のかつての調理室と職員室にて。
大人にとってはとっても懐かしい、学校ならではのぬくもりを感じつつの味噌仕込みです。

お味噌は、大豆:麹:塩 の材料を<2:2:1>の割合で混ぜるだけなのですが、これも地域によって様々なアレンジがあるかもしれませんね。

さて、ここからは写真と共に味噌づくりの様子をご紹介します。

米麹と麦麹。隣町の麹屋さんから調達している生麹です。

 

左が米麹。右が麦麹。
生麹でまだ麹菌が生きているので、触れるとあったかい!

 

25キロの大豆を一度に煮ることができる大きな鍋!

 

15分ほどでぶくぶくしてきます。沸騰したら煮ること90分。

 

少ししたらあくがでてきますので、丁寧にあくとりをします。
この時点で味見をすると…甘くておいしーい。

 

すっかり火が通った大豆。
とても大きく膨らみました!

 

さらに、ふたをして蒸すこと15分・・・ ほくほくの大豆のできあがりです。

 

大豆の煮汁、実はこれがとても美味しいのです。
飲んでみると、甘くて乳酸飲料のような味。
疲れた体に染み渡る美味しさで、おかわりする人が続出!

むかし、身延町の女性はこの汁を洗髪後のリンスとして使ったそうですよ。
大豆のエキスは髪の毛がつるつるになるんだそうです。

湯気がたったアツアツの大豆を扇風機で冷ましていきます。

 

大豆を茹でている最中に、麦麹、米麹、塩を混ぜておき、冷ました大豆に加えます。

 

ここからが、みんなのお楽しみタイム。
機械に大豆、麹、塩をまぜた材料を入れてミンチにしていきます。
先ほどの大豆のゆで汁を少しずつ入れて柔らかさを確認し、耳たぶくらいの固さにするのがポイントなんだそうです。

機械の穴からミンチがニョロニョロ~っと出てきて面白い!
子供たちがいると「わぁ~!」と歓声が上がる盛り上がりタイムです。

 

ミンチになった材料を丸めて、樽に投げ入れます。
バチッといい音がするほど力いっぱい投げ入れます。

ここまででできた「味噌の素」を丸めて「えいっ!!」と樽の中めがけて力強く投げ入れるのがポイント。
なぜこうするか、わかりますか?

それは「空気を抜く」ため。
空気が入るとカビの原因になってしまうので、叩きつけた衝撃で空気が抜けるよう、一生懸命投げ入れます。
このときの合言葉は「おいしくな~れ!」
間違っても大人は普段のストレスをこの作業で解消してはいけません(笑)。
美味しいお味噌になることをひたすら願って叩きつけます!

 

投げて入れていった味噌玉をぎゅうぎゅう押して、さらに空気を抜きます。

 

最後は空気に触れないようにサランラップで覆い、その上から更に塩を乗せて密封してできあがり!

右上の小さなオレンジの樽は、この記事でいつもお世話になっているおばあちゃんにプレゼントする樽です。
おばあちゃんは家ではお味噌を手作りされていないそうなので、あけぼの大豆の手前味噌をプレゼント。
「やっぱりあけぼの大豆の味噌は味が濃くて美味しいねえ」と言ってくれます。
この状態で寝かせて、夏を越せば出来上がり。
この味噌の蔵開きは11月初旬の予定。

おいしくな~れ!!

編集後記

この味噌仕込み作業は、大豆を煮て蒸すまで約2時間、その後の仕込みが約90分。
合計3時間半でした。

家などで手作りをする場合はミンチの機械がないと思いますので、じゃがいもをマッシュする道具などで大豆をつぶして、麹と塩を混ぜます。
ブレンダーなどを使うと時間短縮になりますよ。
ブレンダーを使うときのポイントは大豆をつぶしすぎないこと。
そして先述した通り、味噌種は耳たぶの柔らかさと同じくらいを目安にすることが大切です。

お子さんも泥遊びのような感覚で楽しく作業できるので、親子で味噌づくりもオススメ。
自分たちで仕込んだ味噌を半年後に開けるときの、宝箱を開けるようなワクワク感。
そしてお味噌汁にしたり野菜にディップして食べる時の感動はひとしおですよ。

参考:五味醤油HP身延町HP