マイホームに関する大イベントの一つである外壁塗装リフォーム。
高額な工事を成功させるためには前もって準備をしておくことが不可欠です。

とはいえ、何から始めたらいいのでしょうか?
準備のために前もって押さえておきたい、外壁塗装のポイントを確認しておきましょう!

無駄を抑えるためには適切なタイミングで行うことが重要

外壁塗装の総工費は大抵の場合数十万から、百万円を超える場合もあります。
何度も行うものではないものの、無駄を抑えるためには適切なタイミングで行うことが重要です。

塗料には種類ごとに「耐用年数」が設定されている

外壁塗装に使われている塗料には種類ごとに「耐用年数」が設定されているのでその年数が過ぎているなら塗り替えの時期に来ていると考えられます。

耐用年数には塗料の種類によって大きな差があり、幅広く使用されているウレタン塗料であれば約8〜10、最も人気のあるシリコン塗料であれば約10〜15年程度です。
新築の格安物件であれば、塗料も最も安いアクリル塗料が使われている可能性があり、その場合の耐用年数は約5〜7年程度と考えておくと良いでしょう。

表れている塗り替えのサイン

耐用年数が一つの重要な基準になりますが、自分の目でも塗り替えの時期が来ているかどうかを確認することは可能です。
塗料が劣化しているかどうかは下記のような兆候で判断できます。

チョーキング

塗料に含まれている発色の主原料である「顔料」が紫外線によって分解されて粉状になり、外壁の表面に浮き出ている状態です。
手で触れるとチョークのような粉状の汚れがつくため、チョーキング現象(または白亜化)と呼ばれています。
おそらく、見た目も当初のような光沢や鮮やかさが失われているでしょう。

クラック(ひび割れ)

地震や建物のひずみなどにより表面にクラックが発生している場合、外気の湿気が壁の中に侵入し建物全体の劣化を早めてしまう恐れのある状態です。
下地にだけクラックが入って塗面は割れていない場合もありますが、下地からの湿気で塗面が膨れ上がっているような症状が見られる場合は、すぐにそこが破損してしまう恐れもありますので要注意です。

カビ・コケ

湿気の多い場所や陽の当たらない壁面にはカビやコケが発生しがちです。
根深いものになると次回の塗装リフォームの際、塗装前に行われる洗浄に余分に費用がかかってしまいます。

前もって決めておきたい「色」

塗り替えのタイミングははっきりとした基準があるのでそんなに迷うことはありませんが、どの色で塗るか決めるのは難しいと感じる人も多いかもしれません。
基本的には自分の好きな色を選べばいいのですが、後悔しない色選びのためには下記の要素を考えておくと良いかもしれません。

街並みを観察

外壁塗装リフォームを考え始めたら、まずは自宅周辺の街並みをよく観察してみましょう。
隣り合わせた隣家の色も大事ですが、街全体の雰囲気や個性を眺めてみれば、個性を出しつつも周囲と調和したカラーリングのヒントが得られるはずです。

色ごとの特徴も要チェック

色ごとの特徴を抑えておくことも大切です。
例えば、赤や黄色は色あせしやすく、白、黒、青は色あせしにくい色とされています。
ただ、白で塗る場合当然ながら汚れは目立ちやすくなるというデメリットもあります。
自治体が定めた景観条例によって建物の外壁の色に使えない色がある場合もあるのでチェックしておきましょう。

最近の流行はツートーン

最近人気なのが外壁を2色で塗り分けるツートーンの塗装です。
1階と2階で色を分けたり、玄関まわりやベランダの腰壁部分など、突き出している部分の色を変えて立体感を出すデザインなどがあります。
2色選ぶのを難しく感じる場合は、「ヨーロッパ風」、「ナチュラルテイスト」などおおよその雰囲気を伝えると、業者の側でカラーリングのアイデアを提案してくれる場合もあります。

前もって決めておきたい「塗料」

どんな塗料で塗るべきか、この判断も難しく感じる人が多いかもしれません。
塗料の選び方もシンプルに考えれば答えが見えてきます。
塗料選びに関する基礎知識を確認しておきましょう。

まずは下地材を確認

下地材によっては使用できない塗料もあるので、外壁にどんな素材が使われているかは塗料選びに重要な要素です。
例えば下地が、最も一般的な窯業(ようぎょう)系サイディングであれば弾性のある塗料は不向きですし、逆に、最近人気のあるガルバリウム鋼板であれば弾性のあるウレタン塗料で塗るのが一般的です。

付加的機能を持つ塗料

単に美観を長く保つだけでなく、様々な付加的機能を持つ塗料も多く存在します。
直射日光により正面温度が上がるのを防ぐ「遮熱塗料」、断熱材のように外気の熱さ・寒さから室内を快適に保つ「断熱塗料」、紫外線に強い「無機塗料」などがあります。
地域の風土や立地条件に合わせて賢い選択をしましょう。

外壁塗装に使われる塗料の種類は細かく分類すると紹介しきれないほど多岐に及びますが、下記のような代表的なグレードのものを覚えておけば塗料選びに役立つはずです

ウレタン塗料

相場価格1,800〜2,200円/㎡。耐用年数8〜10年。

弾力があり、モルタル壁によく使用される塗料です。リーズナブルさが人気の塗料です。

シリコン塗料

2,800〜3,100円/㎡。耐用年数10〜15年

ウレタン塗料に比べて格段に高いわけではないものの、高い耐久力を持っています。
コストパフォーマンスの良さから、現在もっとも人気のある塗料です。

ラジカル塗料

2,500〜3,000円/㎡。耐用年数15〜17年

ラジカル制御型塗料とも言われる、最近とても注目されていている塗料です。
空気中の酸素や水分、また紫外線が塗料の顔料と反応すると、塗料を劣化させる「ラジカル」と呼ばれる物質が発生しますが、そのラジカルの発生を抑える機能を持っています。

フッ素塗料

3,800〜4,500円/㎡。耐用年数15〜20年。

紫外線や酸性雨に強く、美しい光沢が長持ちする塗料です。
主にビルや商業施設に使われていましたが、最近になって一般住宅用が販売されるようになりました。

外壁塗装の予算

外壁塗装に関してもっとも気になるのが予算。
前もって積み立てておけば恐れることはありませんが、満足の行く外壁塗装リフォームのためには、だいたいどのくらいの予算を立てておけばよいのでしょうか?

概算は延べ面積から算出

自宅の外壁の塗装面積を求めるには、図面から正確に算出する方法と実際に図って計算する方法、延べ床面積から大まかな面積を概算する方法の3種類あります。
予算を立てるには概算で十分な場合がほとんどですので、「延べ面積」から算出する方法を覚えておくと良いでしょう。

塗装面積は「延べ床面積(㎡)✕係数1.2」でおよその近似値を求めることができます。

ただし、建物の平面形状が正方形や長方形であればこの計算式が有効ですが、複雑な形状の場合には実際の数値と大きく異なる場合もありますので注意が必要です。
例えば、建坪15坪の総二階建て住宅であれば、延べ床面積は約100㎡になり、塗装面積は約120㎡と考えられます。

見積もりは塗装面積をもとにして算出される

実は外壁塗装リフォームには様々な付帯工事が含まれています。
実際の塗装だけでなく養生や洗浄、下地処理なども塗装面積に基づいて見積もりが算出され、それぞれの工事に設定されている単価に塗装面積を乗じて合算したものがおよその総工費になります。
上記で試算した建坪15坪の一戸建て住宅を例にすると、安ければ50万程度、グレードの高い塗料を選ぶ場合であれば100万円くらいになると考えられます。

予算を左右するその他の要素

同じ規模の建物の塗装であっても、なぜ見積もりに大きな差額が生じる場合があるのでしょうか?
一つの理由として、塗装工事前の劣化状況が上げられます。

もし、前回の塗装から何年も経過していて塗装面だけでなく下地材まで劣化していれば大規模な補修工事が必要になるかもしれませんし、コケやカビが広範に発生していれば通常の高圧洗浄ではなく特殊な洗剤を使ったバイオ洗浄が行われます。
こういった理由で様々な追加費用が必要になりますので、カビやコケ、また金属部分のサビや下地材のクラックがひどくなる前に、外壁塗装を計画しておきましょう。

また、大手ハウスメーカーなどによる外壁塗装リフォームは、元請け・下請けと複数社が関係している場合が多いので、自社で職人を抱えている地元工務店や塗装業者より高額になる傾向にあります。

しっかり準備をして満足のゆく外壁塗装リフォームを

外壁塗装は何度も行うものではないうえに、聞いたことのない専門用語がたくさん出てくるので難しく感じるのも無理はありません。
でも、基本的なことはとてもシンプルです。
しっかり準備しておけば、きっと満足のゆく外壁塗装リフォームを成功させる事ができるでしょう。