こんばんは、クロです。
駆け足で記事を進めて参りましたが、今回で最終回となります。さて、一条工務店で新築した部分共有型の二世帯住宅で生活を始めて約9ヵ月が経過しました。
夏期は1・2階リビングのエアコンを稼働すれば各部屋に冷気が行き渡って快適でしたが、南側にある部屋は日射で室温が上がりがちでした。日射を遮蔽する庇やシェードの設置は必須と感じました。冬期を迎えて夜に冷え込むようになった10月下旬から全館床暖房を使い始めましたが、温度差を意識せずに生活できるようになったので非常に快適です。
ただし、高気密・高断熱住宅の宿命ですが、室内の湿度をコントロールすることに手間がかかります。夏期は再熱除湿機能付きのエアコン、冬期は除加湿機能付きの空気清浄機といった機器を駆使することをお勧めします。
我が家の1階は朝日ウッドテックのライブナチュラルプレミアム(ハードメイプル)、2階はi-smart標準のEBコートフローリング(ホワイトウォールナット)です。ライブナチュラルプレミアムは適度なマット感・頑丈さ・温もりを感じますが、EBコートフローリングは滑る・脆い・冷たいという真逆の三拍子が揃っています。朝日ウッドテックのショールームは都合が合わず見学しなかったのですが、見学して足触りを確認していたら2階も確実にライブナチュラルプレミアムにしていました。実際に生活してみると値段以上の価値があるオプションだと思います。
バスルームと洋室が隣接しているのですが、バスルームの音が洋室側へ意外と響くことが分かりました。そのため、深夜に帰宅してバスルームを使う際に気を遣います。洋室の壁にグラスウールや遮音シートを施工することや、バスルームと洋室の間に洗面室を入れるなどの間取りの工夫をすればよかったと思っています。
我が家は採風のために大きいサイズの引き違い窓を多用しましたが、冬期になって窓から冷気が流れ込んでくることが分かりました。窓を少なくするか、小さくするか、滑り出し窓にして気密性を確保するなどの高気密・高断熱住宅のセオリーに従わなかったところは反省すべき点です。ただ、性能を重視するあまりに要塞みたいな外観になるのも問題があるので、バランスが難しいところだと思います。
その結果、コンセントプレートがテレビボードから約10mmはみ出しています。画竜点睛を欠くといった感じです。
施主側が何も考えなくても一定の性能が保証されることから、一条工務店は初めて高気密・高断熱住宅を建てられる方に最適のHMと言えます。しかし、さらに上の性能やデザインを望んだ場合、一条工務店では物足りなくなることも事実です。”次も同じHMで建てたい”というのが美しい終わり方ではありますが、次の家造りをするなら、わたしは今回得られた知識と経験を存分に生かして、好き勝手に注文できる地場工務店やパワービルダーで高気密・高断熱住宅を建ててみたいと思っています。
生活を始める前の理想と実際に住んでみた現実をまとめてみました。
項目 | 理想 | 現実 |
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食事 | 昼・夕食は両世帯で食事。料理は子世帯。 | 平日の朝・昼食は世帯別、夕食は両世帯で食事。 休日の昼・夕食は両世帯で食事。外食時は事前申告。 平日は食材配送サービスを利用。料理は子世帯。 |
買い物 | 世帯別。 | 世帯別。外出時はお互いに必要な物を確認する。 |
生活費 | 折半。 | 親世帯から生活費を定額で受け取り。 |
固定資産税 | 子世帯。 | 家屋は子世帯、土地は親世帯。 |
掃除 | 世帯別。 | 世帯別。共有部分については子世帯が担当。 1階個室、トイレ、庭木の手入れは親世帯が担当。 |
洗濯 | 世帯別。 | 物干し場は完全に世帯別。 共有部分の洗濯物は子世帯が担当。 |
食事に関してですが、世代が違えば味の好みも異なるので、献立を考えるだけでも大きな負担になります。そのため、管理栄養士が考えた献立をレシピ通りに作るだけの食材配送サービスは料理を作る子世帯の負担軽減に最適でした。二世帯住宅と相性の良いサービスと言えるのではないでしょうか。
部分共有型の二世帯住宅では出来る限り各世帯が交わらないような造りが一般的です。我が家も共有部であるバスルームとキッチンは親世帯の動線や生活空間を通らずに使用できるようにしています。何の変哲もない約50坪の間取りですが参考にしていただけますと幸いです。
重量鉄骨造が得意な某HMでは「39坪の狭小二世帯住宅を建てる」というパンフレットを貰い、各HMとの打ち合わせでは延床面積40~60坪の範囲で提案を受けました。部分共有型の二世帯住宅を建てる場合は最低でも40坪は必要と考えておけばよいでしょう。
わたしの場合、二世帯住宅を建てるからといって親世帯の意見を聞きすぎたことは失敗でした。両親から出された条件を受け入れたため、家の方向や形状がほぼ固定されてしまったこと、早々にHMの検討を打ち切ったことが非常に心残りになっています。両親の助力により家を新築できたことは事実ですが、両親よりも長い間この家に暮らして、月々の住宅ローンを支払うのは我々子世帯になります。両親とは家造りをするための話し合いがあと少し足りなかったのかなと思っています。
二世帯住宅を建てるにあたっては様々な制約が多く、世帯間での調整も多岐に渡り苦労する家造りになるでしょう。しかし、根気強く何度も話し合いをすれば必ず乗り越えられる壁だと思います。両親と真剣に話し合いをする人生で数少ない機会を楽しんでみてください。二世帯住宅を建てた先達として陰ながら応援をしています。