前回の、『準防火地域』については、特に都市部に住んでいる方には、馴染み深い話題だったのではないかと思います。
しかし、今回の『埋蔵文化財包蔵地』という単語は、聞きなれない方も多いのではないでしょうか。
今回は、我が家が着工合意直前に揉めに揉めた、この『埋蔵文化財包蔵地』について書きます。
埋蔵文化財包蔵地
埋蔵文化財包蔵地とは、石器や土器などの遺物が出土したり、貝塚や古墳などの遺跡が土中に埋もれている土地のことを指します。
私たちが購入した土地は、もともと遺物が出土した経歴のある遺跡群の一角に位置する土地でした。
きちんと土地の備考欄に記されていたにも関わらず、私たちは、『へー、遺跡のあったところに家が建てられるんだ。なんかロマンだね』くらいののんきな感想で、特にその意味を考えることも無く、土地を購入してしまいました。
これが間違いでした。
この、『埋蔵文化財包蔵地』というのは、土木工事などによって発掘する際は、発掘の60日前までに、届出をしないといけません。
また、埋蔵文化財の保護上、特に必要なときは、試掘や現地調査をしなければならないという既定があるのです。
このことが着工合意直前に判明した我が家は、大変混乱しました。
我が家だけでなく、住友林業サイドの方々も、おそらくあまり前例が無かったのか、大変混乱していたように思います。
『試掘をおこなう際は、最大三ヶ月、工事を進めることができません』
『試掘の費用は、土地の所有者負担になります』
と言われたときは、愕然としました。
着工が遅れる、すなわち仮住まいであるマンションの家賃が数か月分負担増になるうえ、試掘の費用まで負担しなければならないなんて…。
家と関係ないところで、そんな予定外の出費があるとは、想像もしていませんでした。
結果として、試掘はおこなわずに済みました。
また、試掘の費用が土地の所有者負担であるというのは、担当者の早とちりであったようです。
試掘が必要となる土地というのは、工事中に遺跡や遺物が発見されたケースのことであり、すでに遺跡があることが分かっている我が家のような土地は、試掘対象には該当しないとのことでした。
試掘対象ではなくホッとしたのですが、このことに関する予想外の出費は、少額ですがありました。
それは、地盤改良費用。
もともと、我が家は柱状改良を予定していたのですが、この、埋蔵文化財包蔵地においては、柱状改良のように、遺跡を破壊する可能性の高い改良方法は、おこなってはいけません。
我が家は、柱状改良のかわりに、木杭による地盤改良工事を選択せざるを得ませんでした。
このように、家の基礎に該当する部分に木杭を刺し、地盤改良をおこないます。
遺跡だけでなく、環境にもよい方法らしいのですが、地盤改良にかかる費用は、20万近くアップしました。
着工合意の直前でこの出費は、正直とても辛かったです。
みなさんも、土地購入の際には、ぜひ備考欄にも注目してください。
聞きなれない条件が備考欄に記載されていた場合は、まずはその詳細を調べてから購入されることをお勧めします。