こんばんは、クロです。
さて、外構は建物が建てられる状態にまで敷地を整える造成工事(一次外構)と、アプローチ・フェンス・駐車場・植栽といった建物以外のものを造る外構工事(二次外構)に分かれます。今回は時間を少しさかのぼって造成工事で大変だったことについてお話しをしたいと思います。
「建て替え」という言葉には敷地に手を付けず建物だけを入れ替えるイメージがあると思います。実家を建て替えるにあたりわたしもそのように考えていたのですが、家造りというのはなかなかどうして思い通りに進まないものです。
わたしの実家の北側・東側にはコンクリート造の擁壁があります。東側の擁壁(1m以下)は約40年前に実家を新築したときに建てており、水抜き用の穴が設けられた現代的な造りのものです。しかし、北側の擁壁(2m以上)については父親も詳細が分からないほど古いものでした。実家を新築する前から建っていたようなので、少なくとも建てられてから60年以上は経過している擁壁でした。水抜き用の穴は設けられておらず、一部は外側に膨らんでいて所々にヒビが入っていました。
父親が突如として「この機会に擁壁も建て替えたい」と打ち合わせの場で発言するまで気にも留めていませんでしたが、詳しく擁壁の状況を調べてみたところ上記のような問題があると分かりました。
わたしとしては、今さら何を言い出してるんだこのオッサン…というのが正直な感想でしたが、契約後に擁壁の問題が発覚してもその時点では後戻りができないわけですから、今となってはこの段階で問題が分かってよかったと思っています。さて、擁壁の建て替えを新しく要望として加えたいと各HMへ連絡したところ、造成工事への考え方とそのアプローチはさまざまでした。
プランA・一部建て替え
■L字鉄筋コンクリート標準擁壁を使って北側のみを建て替える。東側の建て替えはしない。
一条工務店を含めたほとんどのHMがこちらのプランでした。見積り金額は約190〜330万円と幅がありましたが、工事内容はほとんど同じです。さらに安く収めるためには?という質問に対しては「隣地に影響しない範囲でGL(地盤面)を下げ、低めの擁壁を使って材料費を節約する。」「そもそも擁壁を建て替えず、擁壁の裏側にコンクリートを流し込んで補強する。」などの提案がありました。
プランB・全部建て替え
■現場打ちL字擁壁を使って北側と東側全てを建て替える。
重量鉄骨造を得意とする1社のみこちらのプランでした。見積り金額は驚きの約1,000万円で、擁壁の費用を考えるとローコストメーカーしか選択肢がないかも…とわたし達を混乱に陥れた提案でした。さらに安く収めるためには?という質問に対しては「建物を南側に数m後退させて法面を作り、土留め用の芝生を植えたうえで低い擁壁を建てる。」という提案がありました。いろいろな知識が付いた今となっては盛り過ぎと言わざるを得ない見積りなのですが、体よくお断りをするための手段だったのかもしれません。
プランC・建て替えない
■擁壁は建て替えない。
2社がこちらのプランでした。諦めたらそこで試合終了ですよ…?
どうやって対処するつもりだったのか未だに謎です。
なお、我が家の造成工事は行政からの指示で最終枡付近の数mに分厚いL型コンクリート擁壁を使うことになったのでその箇所だけ擁壁が約5cm分飛び出したこと、擁壁の繋ぎ目にコンクリートが行き渡らなかったので一部をモルタルで補修したこと以外は滞りもなく、無事に工事は終了しました。
造成工事は予想もしない大きな出費に繋がる項目です。まずは敷地調査の段階で資金計画に影響のある箇所を徹底的に確認してもらう方がよいでしょう。ちなみに一条工務店では「造成工事は必ず提携業者に依頼する」という規約になっているので提携外業者との相見積もりを取ることができません。造成工事後にこっそりと提携外業者に見積書の内容を確認してもらったところ、「とてもお値打ちな費用です」との評価でした。