全国津々浦々にある住宅展示場。
それぞれ多くのハウスメーカーが出店していますが、各社差別化を図るために一生懸命です。
木造か鉄骨か。
断熱性能は?コストは?耐震性は?
それらを実現するため、多くのハウスメーカーは色々と工夫を凝らしています。
ただ、なぜか出来上がる家は四角の家で、外観上は面白みの少ない家が立つことが多いです。
特に高気密校断熱住宅はその傾向が強そうです。
ご多分に漏れず、我が家も四角の家が建っています。^^;
四角の家はとてもメリットが多いんですよね。
耐震性能も高いですし、家事動線も短くできます。
ですがそのメリットの裏にはハウスメーカーのメリットも隠されています。
そのメリットに向けて設計士さんは色々と手を尽くしてきます。
1、コスト
四角の家は居住面積が一番広く取れますが、その分壁が少なくなります。
壁が少なくなるということは材料費の削減になります。
また、建築工数も少なくなるので、建築期間の短縮にもなり、職人さんの人件費も浮いてきます。
2,クレーム
複雑な形状の家ほど壁も多くなるのですが、それに加えて手間もかかるようになります。
材料も多く、それらを組み、取り付け、張り、とやっているとそれだけ色々なところでミスも出やすくなります。
継ぎ目が上手く言っていなくて雨漏り。なんてしてしまえば大掛かりな修繕です。
機械で作る工業製品ではなく、人が作る家なのでミスは必ずあります。
それが発生しやすい家か、そうでないか。
建築後のクレームは手直しがしにくいものも多く、致命的なミスが起きればハウスメーカーも大変な支出になってしまいます。
3,見積もり
見積もりの仕方はハウスメーカーによって様々だとは思いますが、設計が変わるたびに詳細な見積もりを検討するところは少ないのではないでしょうか。
我が家が建築した一条工務店の場合は延べ床面積でほぼ見積もりが決まっていました。
壁がどうこう、ドアがどうこうというのは、全て坪単価に入っているから。ということのようです。
そこまで丼ではないかもしれませんが、壁の出隅がいくつあるから柱が何本増えて、クロスが何平米増えて。。。
と少しの変更で様々な個数が変わってきます。
見積もりはかなり大変な仕事です。
その大変さを少しでも軽減しようとなるべく単純な家を提案するかもしれません。
裏を返せばメリットだけれども
複雑な形状の家は、あくまでハウスメーカーに取ってデメリットが多い家になります。
施主からすれば、せっかくの自由設計だから色々とオリジナリティ溢れた家にしたいと思うのが普通だと思いますが、
設計士さんはなるべくその方向に行かないように誘導してきます。
ハウスメーカーとしてはオリジナリティに溢れた家は、展示場だけでいいんですよね。
設計事務所のようなところの場合、事務所が設計した家はその事務所の宣伝にもなりますので、やはり目を惹く家が多いような気がします。
一方でハウスメーカーの建てた家は、似たような形になってしまいます。
事実、最初に挙げたメリットは住んでいく上で非常に大きく、お互いにウィンウィンではあるのですが、多少”もやっ”としてしまうかなと思います。
当初色々と複雑な家を希望していた我が家ですが、いつの間にか四角い家ができていました。
家事動線をこだわろうとするとどうしても四角に近づいてしまうのですが、その四角の中でも色々と工夫したり外観的に面白くしたりすることはできたと思います。
ですが、事ある毎にさりげなく誘導されていたような気がします。
もし、複雑な形状の家を望むのであれば、しっかりとした意思を持って設計士さんに臨んでください。
設計士さんも自由設計を謳っている以上、それはイヤですとは言わないはずです(多分^^)
設計は家を建てる段階で一番面白いところだと思います。
ちなみにですが、自分はかなり設計を楽しませていただきましたのでご安心ください^^
不満があってこの記事を書いたわけではなく、そのように誘導されていることに気が付かず、設計が終わってしまうことがちょっと残念だと思うからです。
ぜひとも楽しんで設計をしてください。