はじめまして、材木屋若女将の『エリ』です。
材木屋の娘として育ち、材木屋に嫁いだ私の家造りのお話です。
建築士として仕事を始めて約20年。
自宅を設計するという事は多くの建築士さんの子供の頃からの夢だったりします。
2017年、ついにそのタイミングがやってきました。
材木屋の跡取りだった旦那さんと結婚し2人の子供達に恵まれましたが、9年前に当時の社長だった義父がガンで亡くなり、急遽2代目社長になった旦那さん。
2人の幼い子供達と旦那さんの実家に移る事になりました。
義父は亡くなる1年前に、材木屋の隣の敷地に私達夫婦と子供達の家を建てる話をしていました。
私の設計で、材木屋のモデルハウスになるような家を建ててくれ、というものでした。
子育てをしながらいくつもいくつもアイディアを練り、夢のお家についてあれこれ妄想していました。
そんな中、突然訪れた義父の死。
沢山の図面も、新しい家への想いも、しばらく封印することになりました。
子育てに追われ、自分で設計した家に住む、なんて夢のまた夢・・・と思っていました。
子供達は小学生になり、学区の一番はずれにある、我が家からは徒歩で1時間近くかかる小学校まで通っていました。
一方、材木屋の周りは急速に開発されどんどん市街化が進み、駅やショッピングセンター、遂には目の前に小中一貫校が新設されることになりました。
そして、義父の残してくれた例の土地に家を建てればその学校に無条件で行けるということに。
旦那さんと話し合いを重ね、2016年年末、9年越しの話がいよいよ現実になることになりました。
学校は2018年4月開校。
引っ越しや手続き等を考え、モデルハウスとしての展示期間も考慮すると少なくとも2017年の11月位までにはお家を完成させなければなりません。
9年という歳月が流れましたが、ゴールから逆算していくと実はあまり時間が無いという事に気付きました。
2016年に1級建築士の学科試験に合格し、その年の10月の製図試験で不合格になってしまった私は、翌年である2017年の10月に学科免除で製図試験が受けられる為、再チャレンジすべく資格学校に通い始めていました。
お家の完成と、1級建築士の試験がほぼ同じという、今考えるとかなり無謀なスケジュールが実行されることとなりました。
建設現場となる敷地は、材木屋であり旦那さんの実家でもある土地の隣で、窓からも見える場所。
資格浪人生として学校に通い大量の課題や宿題をこなしつつ、自宅を設計した建築士であり、現場を指揮する監理建築士としての業務を果たさなければなりません。
勿論、『お母さん』としての役目も・・・。
こうして私の夢いっぱいで前途多難な2017年がスタートします。