初めまして。カラボ色大学 学長の立川です。
色彩検定対策やパーソナルカラーアナリストプロ養成講座などの色彩教育や、企業の向け商品色彩設計、建築色彩計画などを得意とし、人と光と色の関係から、人間工学に基づいたカラーの提案を行っています。

「健康的な生活はお家から」ということで、カラーの専門家という立場から、光と色を使って生活をより良くする方法をお伝えしていきます。

今月は「光と色を使って生活リズムをコントロールするポイント」についてお伝えします。

4月は進学や、就職など新しい生活が始まる時。
環境の変化に伴い、今までとは違う時間に起床しなければならないなど、生活環境もガラリと変化する方も多いのではないでしょうか。

慣れ親しんだ生活環境を変えるのはなかなか大変です。
4月は新しい生活リズムを作るための「運用期間」なので、うまく合わせられないなと感じることもあると思います。

そんな時、お家の光と色を工夫して新しい環境に順応していけるテクニックをお伝えします。

朝は青系の光を活用してスッキリ目覚める

みなさんは「サーカディアンリズム」という言葉を聞いたことはありますか?

私たちは「朝起きて、昼間に活動をし、夜になると眠くなる」約24時間の周期を持っていて、このリズムをサーカディアンリズムと言います。いわゆる「体内時計」というもの。
このリズムに大きく影響を与える存在が「光」なんです。

人の体内で生成されるメラトニン(誘眠ホルモンとも呼ばれる)が光の影響を受け、明るい場所にいると分泌が抑制されシャキッとし、逆に暗い場所にいると分泌量が増えるため眠くなります。

しかし、最近では夜遅くまで明るい電気の下で過ごしたり、朝になってもカーテンを開けなかったりするとリズムが狂ってしまい、質の良い睡眠が取れません。

特に生活環境の変化で起床時間が変わる場合、以前と同じような時間に眠っていては疲れがなかなかとれないのではないでしょうか。

そんなときは、狂ってしまったリズムを、朝の太陽の光を活用してリセットすることから始めましょう。
太陽光を浴びたくらいでリセットできるの?と疑問に思いますよね。

太陽光は、様々な色の光が集まってできている光です。
昼間の太陽光は青系の光を多く含んでいるので少し白っぽく見え、夕日の太陽光は赤系の光が多いのです。

メラトニンに影響するのは「光」だけでなく「色」であり、メラトニンの分泌を制御する
光の波長は青系であることも明らかになっています。

名古屋大学の「薄膜型LED照明パネル実用化のための基礎及び応用研究」や、「スペクトルの異なる LED パネル照明下におけるメラトニン分泌量の測定」、一般社団法人 日本照明工業会らの「LED 照明の生体安全性について」によると、人間が見ることができる色(可視光)の中で464nmという短波長領域、つまり青色の光によってメラトニン分泌量が抑制される(大きく減少する)ことがわかっています。

つまり青系の光を多く含んでいる光を目から脳に取り入れることで、脳が覚醒し、体内時計のずれがリセットされてすっきり目覚めることができます。

しかし曇り・雨の日など外が暗い時や、夜勤など特殊なお仕事太陽光が浴びられない方は、どうすればよいのでしょうか。

そんな時は、照明を工夫してみましょう。
昼光色などの青系の波長を多く含む照明を活用すると、自然に目覚められます。

タイマー式のもので、徐々に明るくなるものがベストです。
起床する30分前にこの光を浴び始めるとすっきりと目覚めることができます。

実際の商品としてはパナソニックのシーリングライトや、NEUROONがおすすめです。

よかったら参考にしてみてください。

昼光色(ちゅうこうしょく)とは?

現在市販されている蛍光灯の中で最も色温度の高い蛍光灯の色で、色温度は約6500K(ケルビン)のものをいいます。
色温度とは、物体が高温に熱せられると光を放射し、温度に応じて光の色が変わることを利用して、「光の色を数値化」したものです。
色温度の数値が高いほど青っぽい色となり、色温度が低いほどオレンジっぽい色になります。

曇天空の光に近い明るさで、すがすがしく爽快な雰囲気の照明に適しています。
昼光色蛍光灯は青白い光が特徴で、勉強や仕事をするのに最適な光の色ですので、主に書斎や子ども部屋やオフィスなどで用いられることが多くあります。

夜はメラトニンを増やすため、暖色系の光を中心にする

朝の目覚め方はわかりましたが、夜寝る時のコントロールができないと質の良い睡眠は取れません。
しっかり眠れるようにお部屋の照明を工夫してみましょう。

まずは眠りながらのスマホはやめてみましょう。
明日起きるためのアラームを設定するつもりが、ついついそのままネットサーフィンや動画を見たりしてしまったということはありませんか?

スマホなどの画面から発せられる光は、青の波長を含む「ブルーライト」です。

朝起きて浴びる光と同じ光を、寝る前に見るとどうなるかというと、眠りたいのに脳が覚醒してしまうのです。
最近はブルーライトを軽減させる機能がついたスマホもありますが、それでもよい睡眠に繋がる光ではありません

iPhoneのおやすみモードを使えば、ブルーライトカット効果があるように思うかもしれません。
しかし、これは眼精疲労を招くと同時に覚醒効果があるブルーライトが少し赤みのある光になるだけなので、不十分

画面の明るさ(輝度といいます)を感じると、メラトニンの分泌が抑制されて脳が覚醒してしまうからです。
まぶしいと感じる明るさには個人差がありますので、ご自身でまぶしくないところまで、スマホの明るさを下げてもらえれば多少軽減されるかと思います。

名古屋大実験データによると、30分以上見つづけるとメラトニンの分泌量が減って眠れなくなってしまいます

スマホは脳を覚醒してしまうものだと認識して、就寝1時間前はスマホを含む明るい光を見ないことが大切です。

そして寝室の明かりも重要で、あまり明るくなく、薄暗いくらいがベストです。
照明を落とすことで体内のメラトニンが増え自然に眠気を誘います。

大きな照明をOFFにし、暖色系の電球色を使った小さなやわらかいひかりで気持ちを
リラックスさせましょう!

シーリングライトなどお部屋全体を明るくする照明をOFFにし、寝室の足元を照らすダウンライトやスタンドライトなどを活用しましょう。

2800K程度の温かみのあるオレンジ色の光で、満月の光と同じくらい薄暗さの照明がいいです。

照明で体内環境を整えるには

いかがでしたか?今回は睡眠リズムを整えるための光のコントロール術をお伝えしました。
コツはメラトニンのコントロールです。

  • 朝は青い光の光でメラトニンを減らして、脳を覚醒させる。
  • 朝は太陽光、昼光色などの6500Kくらいの青い光の照明。
    段々と明るくできる照明であれば、起床したい時間の30分前くらいから明るくなるようにセットしてください。

  • 夜は温かい光でメラトニンを増やしてリラックスモードにしていく
  • スマホを見ない、2800K程度の温かみのあるオレンジ色の光で、0.2lx(満月の夜と同じくらいの薄暗さ)の照明がいいです。

電気もガスもない大自然の中で、自然に寄り添って生活をしている…夜は月明りで夜を過ごす。
本来はそういった光が1番心地よく過ごせる光なのです。

現代ではそうはいかないので、お家の照明環境から工夫して、体内環境を整えて新生活を快適に過ごしたいですね。