Categories: 富士山と生きる おばあちゃんの知恵

春の恵み「ふきのとう」を使ったふき味噌の作り方

こんにちは、クラッソーネライターの豊田有希です。
富士山と生きるおばあちゃんの知恵では、山梨県巨摩郡身延町に住むおじいちゃん、おばあちゃんの暮らしの知恵を紹介しています。

3月5日は啓蟄(けいちつ)と言って、暦の上では、暖かくなって生き物が土から出てくる時期です。

この啓蟄を過ぎると、田んぼの準備もぼちぼち始まっていくようです。

今回の取材日は3月11日で、東北の震災から丸6年となりました。
ちょうど6年前のあの日も同じように田んぼの耕耘をしていたんだよ、耕運機で耕耘をしていると自分がガタガタと動いているので、地震に全く気づかなかったよ」というおじいちゃん。

数日をかけて、手押しの耕運機でゆっくりとすべての田んぼの耕耘をしていきます。

田んぼの周りには梅が満開でした。

この時期、まだ木々の緑は少ないので、田んぼの周りの色を表すと「茶色」ばかりなのですが、一足先に白い花が咲いているのを見つけると、心が踊ります。

季節が変わるのは、毎日少しづつ。3月末になれば、桜の花も毎日一輪一輪と開いて行くように、少しづつではありますが、確実に移ろっていく季節の変化にここでは気づくことができます。

春一番をいただく

田んぼの周りには、沢山のふきのとうが顔を出していました。
先月よりも若葉色でまさに春色。

どうして田んぼの周りにはえているのか話を聞くと、おじいちゃんが田んぼに来る私たちが収穫できるようにと、昨年ふきの根を植えてくれていたそうです。

食べれるものがすぐ収穫できるとなると、テンションが上がります!
ふきのとうなどの苦味のある山菜には、冬の間に体にたまった老廃物を排出してくれる効果があるそうです。

ふきのとうは「春一番」に出てくる山菜なんだそうです。

ちなみに皆さんは、「ふきのとう」と「ふき」の関係をご存知ですか??

ご存知の方も多いかもしれませんが、ふきのとうは、ふきの花の芽です。
ふきは地下で根をはり、この花とは別に、円形の葉をもつふきが同じ根から生えてくるそうです。
簡単に絵にするとこちらです。

ということは、もうすぐ田んぼの横でふきの葉も収穫できるということ。
田舎では春一番の山菜として常連さんのふきのとうも、あの円形の葉を持つふきとどういう関係にあるのか?!

都会では実際に見ることもなく、つながらなかったりします。こんなふうに、普段考えないような疑問を考えたり、なるほど!と発見したような気になるのも、田舎ならではです。

ふきのとうを手のひらいっぱい収穫しました。

ふきのとうはを食べるとしたら、やっぱり天ぷらでしょうか。
山菜を天ぷらでいただくのは、贅沢な春だけの貴重な食卓になりますね。

おばあちゃんは、既に天ぷらで食べたそうですが、今回はふきのとう味噌の作り方を教わりました。
おにぎりの具にしたり、ご飯のお供として食べるそうです。

私も作ってみましたが、ふきのとうの苦味を味噌が柔らかくしてくれて、何とも美味しいふきのとう味噌になりました。苦味が不思議とアクセントに!これはご飯が進みそうです!

早速レシピを紹介します。

「春の苦味を喰らう」ふきのとう味噌(所要時間15分)

  • ふきのとう 200g位 
  • 醤油 大さじ1 
  • みりん大さじ1/2
  • 味噌 大さじ1 
  • いりごま ごま油
  1. 洗ったふきのとうを茹でる(1分弱さっとゆでる。ここでアクを抜きます)
  2. ※ふきのとうの香りがふわっと感じられます。
    周りの皮のようなところも捨てずに使えます。茶色くなっている部分は捨てましょう。

  3. 小さく刻みます。(お好みの細かさにしてください)
  4. 手で2を絞り水分を抜きます
  5. フライパンにサラダ油をしき(なくてもOK)、3を炒めます。
  6. 醤油、みりん、味噌を混ぜた調味料を流し入れます。
  7. 最後に香り付けのごま油をかけ、いりごまを手でつぶしながらふりかけます。

出来上がり。
冷蔵で1ヶ月位持つそうです。

おばあちゃんはこの時期に遊びに来てくれた人に、小さくパックした手作りのふきのとう味噌を分けているようです。

「この時期に来てくれれば渡せるのよ。この時期しかないからね」と言っていました。
春の恵はみんなで分けたら、より美味しい。喜んでもらえればまた作りがいもありますね。

花咲かおばあちゃん

今回、玄関を飾っていたのは、鮮やかなオレンジ色の君子蘭(くんしらん)。
私も小さい頃母が大事に育てていたのを覚えています。
おばあちゃんの家には君子蘭の鉢がなんと4つもあり、どれも鮮やかに咲いています。

お祝いなどで贈られたお花は違う鉢に株分けをして、大切に毎年花を咲かせるそうです。

同じ時期に花をもらった姉妹たちと比べても、おばあちゃんのところの花だけが一番長く咲くそうです。
そのためか、難しいお花などは「あなたなら咲かせられるから」とおばあちゃんのところに自然と集まってくるそうです。
まさに花さかばあちゃん!?

家の中で一番陽が当たる温かい縁側が温室(サンルーム)のようになっていて、冬の間はその一番の特等席で花たちの世話をしているそうです。

この写真に写っているのはまだ一部で、枯らすのは可哀想だからと、いろいろな工夫をしながら毎年花を咲かせているといつのまにかどんどん増えてしまうそうです。

3月の畑日記

おじいちゃんは田んぼを耕し、おばあちゃんは畑仕事を少しづつ始めています。
今日はアスパラの根を土の中にまいたそうです。

アスパラはご存知の方も多いかもしれませんが、植えた年はほとんど収穫ができません。
翌年、また翌々年にようやく収穫できると言われています。

アスパラは土の中で根を張り、その根からあのアスパラがニョキニョキと生えてくるんです。
2月末にはじゃがいもを植え、畑はインゲンなどの豆類が育ちつつあります。

野菜を育てている方もいらっしゃると思うのですが、野菜は「育てるのが好き」なタイプと、「収穫するのが好き」なタイプに分かれます。

おばあちゃんは「育てるのが好き」なんだそうですよ。
様子を見ながら周りの雑草を抜いたり、細やかな作業を繰り返して育てていくのは、もしかしたら子育てのようなものかもしれません。

猿や鹿に食べられてしまわないように、横だけではなく、上にもネットを張って臨戦態勢です。ネット張りなどはおじいちゃんがしてくれたそうです。

最近では、100円均一ショップでも野菜の種が売っているそうなのですが、入っている種の量が少ないので、自家消費用で畑をやる広さにはちょうどいいみたいです。
「100円ショップの種で芽が出るのかね〜」と言いながらも、楽しく実験中。

おじいちゃんのお誕生日祝いの「しじみご飯」

「昨日はしじみご飯を炊いたので、おにぎりがあるのよ」と味ご飯と煮物をいただきました。

取材の前日はいいお天気だったこともあり、静岡の美保の松原まで車で出かけて、綺麗な富士山を見ながら林の中をウォーキングをしてきたというお二人。

ちょうどその日はおじいちゃんの77歳の誕生だったそうです!!
「もうこの歳になるとおめでたくないんだよ」というおじいちゃんですが、誕生日ということで、おばあちゃんは”味ご飯”(味のついたご飯)を炊かれたそうで、それをおすそ分けをいただきました。

とっても美味しかったです。
ささやかかもしれないけれど、日常とは違う誕生日をまたのんびりと過ごされたお二人だったようです。

編集後記

もうすぐ「しだれ桜の里」になります。
身延町はしだれ桜が多く、ソメイヨシノよりも少し早くしだれ桜が咲き始め、4月頭にはしだれ桜の里になります。
そのため、毎年多くのプロ・アマチュアカメラマンが本格的なカメラをもって桜の撮影にやってくる、有名なスポットなんです。

近くにの身延山久遠寺には樹齢400年のしだれ桜もあり、まさにお寺一体が桜の里のようで、街はピンク色に染るんです。
一度遊びにいらしてみてはいかがですか。

豊田有希

1975年大阪生まれ 小さな頃は「芋掘り」が大好きなやんちゃな女の子。 1997年一部上場企業へ就職し、2016年3月に退職するまで19年勤務。 2010年田んぼできずなづくり事業を山梨県身延町でスタート。 翌年一般社団法人風土人を設立。代表を務める。偶然か必然か名前の漢字は、「豊」かな「田」んぼに「希」望が「有」る。 好きを仕事に生きていく。

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豊田有希

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