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手作り感あふれる伝統のお祭りが復活!火を勢い良く投げる「投げ松明」

こんにちは、クラッソーネライターの豊田有希です。
富士山と生きるおばあちゃんの知恵では、山梨県巨摩郡身延町に住むおじいちゃん、おばあちゃんの暮らしの知恵を紹介しています。

第4回目は、8月に行われた身延町の地域のお祭りをご紹介します。

このお祭りは、身延町の豊岡地区という人口約900人の地区のお祭りで、一時は人手不足で開催できませんでしたが、5年前に都会のお手伝いが加わり復活しました。

見どころは、誰でも参加できる「投げ松明」。
火を遠くへ勢い良く投げる、とってもスリル満点のお祭りです!

住民と都会の人が協力して作り上げるお祭り

廃校になった小学校の校庭を会場にしたこのお祭りは、毎年行われるようになって今年で5年目。

このお祭りの特徴は「住民と都会の人が協力して作り上げるお祭り」ということです。
というのも、かつてこのお祭りは、住民の高齢化によってお祭りを担う人手が足りなくなり、一旦休止をよぎなくされた歴史があります。

その数年間の休止期間を経て、身延町の使われなくなった田んぼで、都会人のお米作り体験などを行う「田んぼできずなづくり」のメンバー等がお手伝いに加わり復活。

さらに大きな地域のお祭りとして続いているんです。

人口が減ってお祭りの担い手が減っていく中で「住民と都会の人が協力して作り上げるお祭り」として、私たち都会に住むメンバーは当日の準備と模擬店、翌日の片付けをお手伝いしています。
 
こちらはお祭りを復活して1年目の写真です。
田んぼの先生でもある修身さんが、笑顔で挨拶をしてくれました。

当初は100人の地区でのお祭りを復活したのですが、2年目からは、この復活したお祭りをきっかっけにさらに地域を元気にできないかと地元から声が上がり、5地区(900人の地区)のお祭りとなりました。

元々この5地区でのお祭り自体はありませんでしたが、会場の小学校の卒業生たちが力を合わせることで、規模がグッと大きくなりました。

当初は、地元の理解者は少なかったようですが、まずは形にしよう!とお祭りの実行委員会を作って、回覧板を回し、お祭りに来てもらう人が一人でも多くなるようにと声をかけていました。
そして、毎年毎年ひとつずつ模擬店が増え、舞台でのパフォーマンスや、イベントが増え盛り上がりを見せています。

このお祭りのクライマックスは「投げたい松」と呼ばれていて、松で作った松明に火をつけて、7m上の藁で作った籠(蜂の巣と呼ばれています)に投げ入れるものです!

吉田の火祭りや南部の火祭りなど、富士山に近い山梨の地域では、火を使ったお祭りがさかんに行われているんです。
 
写真左側に写っているのが、「蜂の巣」です。
この蜂の巣は、竹と藁で作られていて中には爆竹が仕込んであります。

投げ松明が蜂の巣に見事に入ると、パンパンという爆竹の音がなって、火が入ったことを皆に知らせます。

こちらが投げる松明を作っている様子です。
この松明に火をつけてぶんぶんと投げ回すので、回した時に木がバラバラになってしまわないよう、輪になった針金の中に松を差し込んで行きます。

この作業はかなりの重労働ですが、祭りの当日に、住民と都会のメンバーが一緒になって作ります。

できあがるとこうなります。
お祭りの道具は全て手作りが地元流なんです。
世代を超えて、受け継いできた知恵を引き継いでいきたいという地域の方の願いがあります。
地元の方は早い手さばきで作っていきますが、マニュアルなどは一切ないので、慣れない私たちは本当に苦労するんです。

夕方になると、手作りの模擬店が開店します。
模擬店の店番もまた住民有志や都会のメンバーが担当します。
食べ物は全て100円〜200円と格安。
住民に楽しんでもらいたいという気持ちが伝わるお祭りです。

お祭りには毎年沢山の子供達が参加してくれます。
小学校が1校に統合された身延町ですが、沢山の子供達がお祭りに来てくれた姿を見て、地元の人はきっと喜んだことでしょう。
私たちも毎年子供達が沢山いる姿を見ると、「こんなに子供がいたんだなぁ」と驚くことがあります。

さて、日もすっかり暮れたら、クライマックスの投げたい松のお時間です。
お焚き上げをした火を使って、松明に火をつけます。

そして、このようにブンブンと回して上に投げます。
約100人が一斉にブンブンと回している様子は、他のお祭りでは見れない光景だと思います。

普通にお祭りに来た人が参加できるという点でもびっくりです!
そして今まで大きな事故は一度も起きていないというもの素晴らしいこと。

「蜂の巣」に松明が入ったようです。
藁が燃え、爆竹の音が響きます。蜂の巣は4本用意されていて4本が火に包まれるまで、お祭りは続きます。

翌日は朝8時から片付けに約30人以上が集まりました。
地元のメンバー、都会のメンバーも一つ一つ片付けて行きます。
翌年に向けてお祭り道具を倉庫に入れて完了です。

最初に「一緒にお祭りを復活してくれないか?」と声をかけてくれた住民の方から片付けの後に言われた言葉が印象的でした。

「今年もお祭りが盛大に終わることができました、ありがとうございました。
このお祭りが今あるのは、「田んぼできずなづくり」の皆さんが一緒に復活してくれたおかげです。
本当にありがとう。これからも一緒によろしくお願いします」
と。

「住民と都会の人が協力して作り上げるお祭り」を続けていけるのは、地元の人と、都会からくる人、それぞれへの感謝の気持ちがあるからなのだと、心が温かくなりました。

8月のたんぼ 稲の花が咲く

 

みなさんは、稲の花を見たことがありますか?
8月の田んぼは、穂がふくらみ、稲の花が咲きます。写真の緑色の稲の穂についている白いつぶつぶのようなものが稲の花なんです。
8月に入ると、葉のサヤをわって穂が伸びてくる「出穂(しゅっすい)」が起こり、出穂が起き始めて数日で、穂の全体が姿を現すと、穂の先端から稲の花が咲き始めると言われています。

そして、稲の花は天気の良い日の午前中に花を咲かせるそうです。
毎年この稲の花を見ると、貴重なものを見れた喜びで胸がいっぱいになります。

田んぼにきた都会の子供たちの質問に答える修身さん。
子供と話している時が一番嬉しそう。

今月の田んぼに頂いた差し入れは、青柚子と赤紫蘇ジュースです。
赤紫蘇ジュースの作り方は前回ご紹介しているので、良かったら参考にしてみてくださいね。
青柚子は柚子こしょうにしたりしますね。
頂いた青柚子は絞って使うのではなく、皮をすりおろして、そうめんや麺類に香り付けに入れるといいそうです。
生の青柚子の香りがついて、とっても美味しいですよ。

夏の田んぼは日差しがとっても強いので、赤紫蘇ジュースは人気の飲み物です。
少しスーっとする飲み心地が、田んぼ仕事の疲れを癒やしてくれます。

沢山取れたきゅうりは「きゅうりのQちゃん」に

夏野菜は毎日が収穫と言われるほど、一日で成長し毎日沢山とれます。
章子さんは沢山採れたきゅうりをきゅうりのQちゃんにしてご飯のお供にしているそうです。
そのレシピを教えてもらいました。

安いきゅうりたくさん手に入ったらどうぞ試して見てください。

■材料

  • きゅうり 500g(5本位)
  • しょうが 1かけ
  •  

  • お好みで唐辛子
  •  
    ○つけ汁

  • しょうゆ 200cc
  • お酢 100cc
  • 砂糖 100g
  •  

■作り方

  1. きゅうりは1センチ強に輪切り、しょうがは細切りにしてザルに入れます
  2. つけ汁のみ鍋に入れ、火にかけて煮出します
  3. つけ汁が沸騰したら、1のきゅうりにかけます
  4. 3がさめるまでほおっておきます(数時間)
  5. 手でつけ汁がさめているのを確認したらつけ汁ときゅうりを分けます
  6. つけ汁を取り出しまた沸騰させます
  7. 沸騰したらその汁にきゅうりをつけこみます(1回あたり数時間)
  8.  5、6、7を繰り返します。(冷めるまで漬け込み、沸騰したつけ汁をつけること合計3回以上)で出来上がりです。

 

3回繰り返したら、きゅうりにつけ汁が染み込んで少し小さくなりました。
出来上がって盛り付けてみると、美味しそうですね。
味は、ご飯がすすみそうな味で、きゅうりのシャキシャキとした歯ごたえが残ります。

今月のあけぼの大豆の様子

さてさて、第2回でご紹介をした身延町特産の「あけぼの大豆」。
6月の種まきから約2ヶ月で、さらに大きくなりました。もうすぐ紫の花をつけて、だんだんとさやができてきます。

枝豆として食べれるのは10月になってから。もう少しのお楽しみです。
来月は鞘が膨らむ様子をお届けできそうです。

豊田有希

1975年大阪生まれ 小さな頃は「芋掘り」が大好きなやんちゃな女の子。 1997年一部上場企業へ就職し、2016年3月に退職するまで19年勤務。 2010年田んぼできずなづくり事業を山梨県身延町でスタート。 翌年一般社団法人風土人を設立。代表を務める。偶然か必然か名前の漢字は、「豊」かな「田」んぼに「希」望が「有」る。 好きを仕事に生きていく。

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豊田有希

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