Categories: 富士山と生きる おばあちゃんの知恵

人生100年時代。田舎に住むおじいちゃん、おばあちゃんの暮らし方

こんにちは!
クラッソーネライターの豊田有希です。
『富士山と生きるおばあちゃんの知恵』では、山梨県巨摩郡身延町に住むおじいちゃん・おばあちゃんの暮らしの知恵を毎月紹介しています。

第27回の11月(霜月)。
取材の前日は雲ひとつない青空でした。

朝起きたらとても天気が良かったので、おじいちゃん・おばあちゃんは身延町から車で約50分の四尾連湖(山梨県市川三郷町にある湖)にお出かけをしたそうです。

この時期の四尾連湖はちょうど紅葉が美しく染まるので、湖畔を散策。

「四尾連湖に行ってみよう」という話になった時に、それならばと今年の田んぼで取れた「新米のおにぎり」を作って持って行ったようで、モチモチでとても美味しかったと喜んでいらっしゃいました。

都会で働いていても、陽気が良くて青空が眩しい日にはおでかけしたくなりますよね。

晴天の朝に思いついてひょいっとおにぎりを作ってピクニックをするなんて…本当にうらやましい!

台風と鹿の食欲にもめげずに咲いた【皇帝ダリア】

皇帝ダリア。

11月頃に目立って咲いているのをよく見かけます。
大きいものでは、8~10メートルもあるそうです。

11月に咲くため、その年の天候によっては急激な寒さで霜が降りると枯れてしまうこともあり、「今年はダメだったね~…」なんてガッカリな声もよく耳にします。

 

今年の皇帝ダリアはというと…

気候が暖かいので枯れてはいなかったのですが、9月の台風の影響で茎が折れてしまったものが多かったとか。
その話を聞いていたので今年はダメかな…なんて諦めていたのですが、おばあちゃんから「咲いてるわよ~」との嬉しい返答が。
さっそく、台風にも負けずに咲いた皇帝ダリアを見せていただきました。

しかも、これはおばあちゃんが挿し木で増やして育てた皇帝ダリアだそうです!

 

 

ゴージャスな佇まいはさすが!
見とれてしまいますね。

しかし…このダリアは鹿にも狙われているようで、よく見ると茎が途中で食べられています。

 

 

鹿さんも生きていくためですから仕方のないこと。
でもこうして挿し木で増やすなどして立派に咲かせてくれたおばあちゃんはすごい!

 

11月に入ると、おばあちゃんのお花畑は少しずつお花が減ってきます。
そんな中ではありますが、他のお花も少し紹介しますね。

 

こちらの花は、ダイヤモンドリリイ(ネリネ)。
夏の線香花火のようにも見えますよね。
1本の茎に10輪くらいの花が咲いている姿は可憐でとっても可愛いです。

 

こちらは、ピンクのサザンカとお正月準備の葉牡丹。
貴重な冬のお花です。

 

外だけではなく、お花が大好きなおばあちゃんのおうちには、南天の実と菊の花が活けられていました。

 

 

家の中にお花があるだけでグッと華やかでオシャレな雰囲気にもなりますし、おばあちゃんの生け花センスもすごく素敵ですね。
今は菊の花の時期。
この白とピンクの菊の花はスプーン菊といって、よくよく見ると…花びらの端っこがスプーンのように平たく膨らんだ形になっています。
可愛い!

 

 

お庭では南天の実が色づき、お正月の訪れが近いことを教えてくれます。

 

 

 

そしてこの時期のお楽しみといえば、ゆず。
ゆずは他の柑橘類に比べて水分が少なく、絞っても果汁はほんの少しだけしかとれません。

 

 

枝にはトゲがあるので実をとるには皮の手袋が必要だし高バサミで取ったり…と一苦労なのですが、実がなったものは無駄にしないように考えるのもおばあちゃんの知恵。

おばあちゃんのところのゆずは大きくて皮が厚い!だからこそ皮も余すところなく活用するのがおばあちゃんの腕の見せどころです。
沢山取れたゆずは特製のゆずジャムになり、喜ぶ人のもとへおすそ分けされていきます。
今年初のゆずジャムは甘さ控えめにしたそうですよ。

 

おばあちゃんのオススメの食べ方は…

  • ヨーグルトにトッピングする
  • クラッカーに乗せる

以前にも紹介したことがありますが、これがなかなかクセになる味なんです。

 

 

私もこの原稿を書きながら、おばあちゃんにおすそ分けでもらったゆずの皮で温かいゆず茶を飲んでいます。
ゆずの皮を砂糖漬けにしてお湯を注ぐだけなので、とっても簡単。
ゆずの香りと苦味が口の中に広がって、とてもホッコリしますよ。

 

さて、この日のおじいちゃんは、家の裏山の竹林の枝落としをしていました。
高い斜面での仕事です。

 

 

この写真の中にもおじいちゃんがいるのですが、竹林にまぎれていて見つけるのが難しい!
少しズームアップしてみると…ちょうど写真の真ん中あたりに、青い帽子&青いズボンをはいたおじいちゃんの姿が遠くに見えます。

 

 

かなりの急斜面なのですが、おじいちゃんは慣れているようでてきぱきと働いています。
慣れない人なら転げ落ちてしまいそうな場所で…こわい!おじいちゃん、若いですね。

仕事を終えて、山から降りてきたおじいちゃん。
竹の枝をたくさん落としてきたんだそうです。
「ヒマだからね~」なんて笑っていらっしゃるのですが、手入れの行き届いた素敵なお庭や山がおじいちゃんの丁寧な仕事ぶりを物語っています。

 

おばあちゃんの職場では芸術的な作品が?!

今年は大根が豊作で、太いものがたくさん取れているようです。

おばあちゃんとしては、たくあんにする時に小さめのほうが漬けやすいそうなのですが、「大きい大根を漬物にするなら、切ってから漬けられる麹づけにしようかな~」なんて思案されていました。

 

畑一面に見事な大根が育っています。
抜いて見せてくれました。

 

この中で数日前に掘ったときに見つけた大根がとっても面白い形だったようで、わざわざ私に見せるためにきれいに洗って取っておいてくれました。

「芸術作品だよ~。作ろうと思っても作れないよ。」と、おじいちゃん。

 

 

その大根がこちら。
子供が見たら喜びそうな形です(笑)

 

 

確かに作ろうと思っても作れない形!

この大根はお土産にいただきました(*^-^*)

 

こんな芸術作品も生まれるおばあちゃんの畑。
今年は暖かいこともあり、11月になっているのに夏野菜であるトマトもまだ採れるそうです。
おばあちゃんは、毎朝おじいちゃんの健康のために生野菜を代わる代わる用意しているそうで、それを見るとおじいちゃんが「羊とかヤギみたいだね~」と言うそうです。

葉っぱばっかり?!と言いたいのかな~(;^ω^)

でも、畑にキャベツがなくなると白菜の芯の柔らかいところを細かく切って、彩りにこのトマトやピーマンを入れて毎日飽きないようにおばあちゃんが工夫している生野菜サラダなんですよ~。

絶対に美味しいに決まってる!

 

いつまで採れるのか?ミニトマト。     ねぎも大きくなってきました。

 

間引きした可愛い人参。   ほうれん草と小松菜もかなり育っている!

 

来年6月ごろに収穫予定の玉ねぎ。 白菜。無農薬だから虫食いがたくさん!

 

こちらも来年用に、エンドウをまいたそうです。籾殻のところから青い芽が沢山でていますよ。

 

 

この野菜はなんだかわかりますか?

 

 

ブロッコリーのように見えたのですが、「芽キャベツ」。
キャベツのミニチュアみたいなもので、スープや煮込み料理に使われていますね。
おばあちゃんが指でさしているところに実=「芽キャベツ」ができると教えてくれました。

 

静岡のご当地ご飯「さくら飯」をいただく。

皆さん、さくら飯って知っていますか?静岡の給食ではおなじみのご飯で、おじいちゃん・おばあちゃんのお孫さんも大好きなご飯なんだそうです。

さくら飯とは、しょうゆ味の具のない炊き込みご飯のこと。
もう一度言いますが、具は何も入っていないのがノーマルなんです。
炊き上げた時のご飯の色がうすい桜色に見えることから「さくらご飯」と言うそうです。

さくらご飯の作り方(お米2合版)

  • お米 2合
  • 酒  大さじ2
  • 醤油 大さじ2

作り方はすっごく簡単。水の分量を大さじ4減らして炊くだけ。ほんのりお醤油の香りが漂う素朴な味。
今度試してみたいと思います。

今日のおばあちゃんの枝豆さくらご飯は、アレンジ版。

お醤油の量をさらに減らし、塩を少し加えて炊いたものです。

枝豆が入るから、醤油よりも塩味のほうが美味しいのでは?とおばあちゃんが考えてアレンジしてみたんですって。

炊き込みご飯ってなぜかすごく美味しく感じるのはなぜでしょう?おにぎりにしても美味しそう。
簡単なので試してみてくださいね。

さくら飯のお供は、白菜漬け。

こちらは昆布、にんにく、唐辛子炒りです。
にんにくが少し入っているので食欲も増すし、後を引く味に仕上がっています。
今日も沢山ご馳走様でした<m(__)m>

編集後記

おばあちゃんは「かわいい」ものを集めるのがとても好きです。
そんなおばあちゃんちの戸棚に見つけてしまった十二支の人形たち。
レトロでとっても可愛い。

聞いてみたら、これは農協から毎年もらっていた干支の人形なんだそうです。
よく見てみると十二支でない動物も少しだけ混ざっていますね(*^^*)もうすぐ年の瀬。
そろそろおじいちゃん・おばあちゃんの家のコタツには炭が入りそうです。
コタツでみかんとお茶。やっぱり冬はこれが一番ですよね。
人生100年時代、いくつになっても楽しみがあるって活力になりますよね。

それでは、また。

豊田有希

1975年大阪生まれ 小さな頃は「芋掘り」が大好きなやんちゃな女の子。 1997年一部上場企業へ就職し、2016年3月に退職するまで19年勤務。 2010年田んぼできずなづくり事業を山梨県身延町でスタート。 翌年一般社団法人風土人を設立。代表を務める。偶然か必然か名前の漢字は、「豊」かな「田」んぼに「希」望が「有」る。 好きを仕事に生きていく。

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豊田有希
Tags: 暮らし身延町人生100年時代さくら飯

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