Categories: 富士山と生きる おばあちゃんの知恵

今年も豊作!激うまの採れたて夏野菜を食す

こんにちは。
クラッソーネライターの豊田有希です。

富士山と生きるおばあちゃんの知恵では、山梨県巨摩郡身延町に住むおじいちゃん、おばあちゃんの暮らしの知恵を毎月紹介しています。

第33回の6月(水無月)。
梅雨の合間の強い日差しや、恵みの雨の後押しを受けたおばあちゃんの畑の夏野菜たち。
あっという間に大きくなってついに収穫の時期を迎えました。
今回はその様子を中心にお伝えしていきます。

ぐんぐん育つ!パワー全開の夏野菜が食卓に

おばあちゃんは野菜の成長を毎日楽しみに畑に足を運んでいるようですが、おじいちゃんから「そんなに毎日見たってカボチャは大きくならないよ(笑)」と言われてしまうそうな( *´艸`)

そのカボチャ、ただいまこの大きさ。

お花の下についているまぁるくて緑の部分が大きくなってカボチャになります。
カボチャの収穫は秋。
さすがにまだまだ先ですね。

一方で、今がまさに収穫どきの野菜たちはこちら。

ナスはツヤツヤしてハリがあって、見るからに新鮮そう!おすそ分けを頂いて家で焼いて食べたら、とっろとろでした。
きゅうりは「2日続けて6本収穫できたのよ」と嬉しそうに教えてくれました。

おばあちゃんたちは、畑で朝もいだきゅうりに味噌やマヨネーズをつけてガブリといただくそう。
私も、お裾分けを冷蔵庫で冷やして味噌をつけて食べたところ、中身がぎゅっと詰まっていて、みずみずしくて、スーパーで買ったのとは全然違いました!採れたて最高!です(*^-^*)

おばあちゃんのおすそ分け野菜いっぱいの我が家の夕食(作/母)

おばあちゃん特製のきゅうりのぬか漬けもいただきましたが、新鮮そのものでとっても美味しかったです。

やっぱり採れたてはスーパーで買う野菜と違いますね!

野菜嫌いの子供も、採れたての野菜を食べたら野菜が好きになるかしらねえ。

こんなにみずみずしくて甘みのある野菜なら子供でもきっと違いが分かるはず!

今年はおっきいジャガイモが取れたのよ~。ほら、こんなに大きい。今年はジャガイモが良かったわ。

このメークインは、ねっとり感があるのでフライドポテトにするのが美味しいんですって。
私もこの記事を書きながら、さっそくフライドしてしまいました!

揚げるポイントは、まだコンロの火をつけないうちに切ったポテトを油に入れて、そこから火をつけてじっくりと低温から揚げること。
数分でジャガイモの良い香りがしてきますので、竹串を刺してスッと通れば火が通った証拠。
塩を振りかけて、出来上がりっ!
晩ご飯の「もう1品」にもなりますし、おやつやおつまみにもぴったり。
ポテトチップスよりずっと体にいいですしね。
これは私のオススメなんですが、スイートチリソースとサワークリームを軽く混ぜたものをディップしても最高に美味しいですよ!

さて、野菜畑に戻りましょう。
こちらは、春の野菜の少ない時期に食卓を支えてくれたサラダ野菜たち。

サニーレタス(左)と、焼肉のお供になるサンチュ(右)

サニーレタスは下から順番に採って食べていたら、ニョキニョキとカバーから飛び出すほど成長していました。
元気が有り余っています。

葉物野菜も新鮮さが命。
おばあちゃんの畑でとれた葉物はどれも葉っぱがパリパリして、かつ柔らかいんです!

夏本番に向けて成長中の野菜たち

去年、大人の背丈までのびた里芋も徐々に育ってきています。

里芋の大きな葉っぱに紛れて出ている小さな葉っぱは、自生のミニトマト。

仲良く栄養を分け合っているようです。

おじいちゃん、おばあちゃんの地元身延町の名産、あけぼの大豆(左)もすくすく育っています。

こちらの豆は糖度が高いので、去年は猿に狙われたり、鹿に葉っぱを食べられたりカラスも狙っている人気者。
今年は、おじいちゃん、おばあちゃんの胃袋まで到達するでしょうか?!

右は落花生。
掘り立てを生で塩茹でで食べると甘くてとても美味しい。
旬になると、お店のお通しで出てくることもありますね。

こちらはもうすぐ色づき始めて収穫を迎えるトマト。
左がアイコで、右が普通サイズのトマトです。

トマトも毎年いろんな種類が出ていて、スーパーにたくさん並んでいるのを見かけますね。
糖度や香りが様々で、気分や料理によってトマトを選ぶのが楽しいです。

左の写真の、トマトの地面のあたりにピンクの花が敷かれているのがわかりますか?

咲き終わった畑のサツキやツツジをおじいちゃんが刈り、おばあちゃんがそれを集めて、それをゴミにせず畑の肥やしにしているんだそうです。
花びらって畑に栄養になるんでしょうか??

「うーん、わからないけど、捨てちゃうのももったいないしねぇ、何かしら栄養になるかなと思って」と、おばあちゃん。

捨てるのではなく、なんでも活かしていくのは田舎の知恵ですよね。
土から生まれたものは土に返して循環していく。
循環と言えば、畑では去年実がなった植物の種が自然と落ちて芽が出てくることもあるようです。
例えば、こちらはナス↓↓

畑から勝手に出てきたナスなんですって~!ナス畑から飛ばされた種がここに着地したのでしょうね。
力強く芽を出しています。
果たして実がつくのか、楽しみ!
こういう芽を発見して嬉しそうにするおばあちゃんの顔が浮かびます(*^-^*)

50年来の友人から珍しい花・八角蓮が届く。

おばあちゃんの家の玄関に、ちょっと変わった葉っぱの鉢を発見しました。

葉っぱの角を数えたら・・・一、二、三・・・八つ。
八つの角があるので、名前は八角蓮(ハッカクレン)。

山野草で、お友達が持ってきてくれたの。私も咲いたのは見たことがないんだけど、葉っぱの下に花が咲くらしいのよね~

蓮ということは、ハスの花に似てるんでしょうか…?

どうかしらねぇ…?

これは、咲くのが楽しみです!

この鉢は、春に身延山にしだれ桜を見にきたお友達が、おばあちゃんに会えるならと珍しい花を手に提げて来てくれたそうです。
そのお友達というのが、おばあちゃんが中学校を卒業後に全寮制で働いていた職場の仲間とのこと。
当時はあまり勉強が好きではなかったというおばあちゃんは、中学卒業と同時に静岡に働きに出たそう。
この地域では、高校に進学する女性のほうが少なかった時代ですので、おばあちゃんのような女性のほうが多かったんですね。

15歳で地元・親元を離れて働く。。
自分に当てはめて考えてみると、本当にすごいことです。

当時は携帯電話もない時代ですから、きっと寂しさもあったでしょうね。

そのときからのお友達ですから…「何年来の繋がりかしらね。40年?いや、ここにお嫁にきて50年だからもっと前ね(笑)」と、おばあちゃん。

そのお友達は山野草が好きで、お花が好きなおばあちゃんに珍しいものをと持って来てくれたそうです。

調べたところ、この八角蓮は中国や台湾の深山の林床に生える大型の植物で、葉っぱはたった2枚!
この大きな葉っぱを広げた下に赤褐色や白の花を数輪咲かせる、とのこと。

↑これが八角蓮の花↑(出典:写真AC

あれ?ハスの花とはちょっと違いますねえ…。
調べてみると、葉っぱがハスに似ていることから八角蓮と呼ばれているそうなのです。
葉っぱの下に鈴が付いているような感じですね。
おばあちゃんの八角連は何色の花が咲くのか、楽しみです。

真っ白なアジサイたちが咲き誇るお庭の現在

おばあちゃんの畑では、「月見草」が咲き誇っていました。

と言っても、このお花は「夕方から夜」に開花するので、昼間は蕾です。
4枚の花びらは昼間に閉じ、月が現れる時間帯に咲く花。

咲き始めの時は白い花が、翌朝しぼむ頃には薄いピンク色に変化することから花言葉は「移り気」と言われているそうです。
もう一つの花言葉は「無言の愛情」です。

夜に、畑の中に植えてある30から40の月見草が一斉に咲くのがとても綺麗だったと言うおばあちゃん。
玄関のところに置いてあるものはおじいちゃんも見てくれるけど、畑に咲くものは「誰も見てくれないねえ」と(花に)話しかけながら見ているそうです。

おばあちゃんの家の近くは山なので夜は灯りが少なく真っ暗になると思うので、月に照らされた月見草はとても幻想的で美しいのでしょうね。

おばあちゃんは、シンプルな白い花が好きだそうで、このお花が咲くのも楽しみにしているようです。

 

6月の花といえば、アジサイ。
こちらはアナベルという品種で、通常のアジサイよりも小さな花がたくさん集まり手毬のようにこんもりした花姿がとっても可愛らしいアジサイです。
大きいものだと一つの枝に30cmくらいのかたまりになります。

花言葉は、「ひたむきな愛」「辛抱強い愛情」。

おばあちゃんは「お花は白が原則よね」と。
お庭で咲く、月見草、アナベル、そしてクチナシの花が咲き誇る今の時期をとても楽しんでいるようでした。

日本古来の水辺に象徴的なお花って?

玄関を入ったところに生けてあったこちらのお花。

いちばん背の高い紫のお花はあやめですか?

うーん、多分、カキツバタかしら

カキツバタ?(あやめに似てるけど…どこが違うんだろう?)

調べてみると…見た目はそっくりで見分けがつきにくいそうですが、大きく違うのは咲く場所。
あやめは普通の土に、カキツバタは水辺に咲くのだそうです!

カキツバタは、日本古来の水辺に象徴的な風景だったようで、尾形光琳作の国宝「燕子花図」にも描かれていますし、万葉集でもカキツバタに由来する歌が7首読まれています。

カキツバタはむかし染料として利用されていて、書き付けに使うということで「書き付け花」がカキツバタに変化して名前が定着したと言われているそうです。

花言葉は「幸せは必ず来る」「幸せはあなたの物」ということで、贈り物に送ったら喜ばれそうですね。

その他にも、お庭には花がたくさん咲いています。
こちらもアジサイ。
「隅田の花火」という名前がついたガクアジサイです。
星形の花びらが可愛いですね。

ガクアジサイ(額紫陽花)の白い花びらに見える部分は、実は葉っぱが変化して花を守る部分。
花はブルーの部分です。
この葉っぱ(装飾花とも言われる)の部分が花を縁取る額に見えることから額アジサイと言われています。
「隅田の花火」は、この白い部分が花火に似ているからでしょうか。
おばあちゃんのお庭では、毎年ちょっとだけ咲いてくれるそうです。

おばあちゃんが「珍しい花が今朝咲いたのよ~」とちょっと興奮気味に教えてくれたのは、クジャクサボテン。

大輪のショッキングピンクのお花が存在感を放っています。
花も大きいっ!
花言葉は「幸せをつかむ」「儚い美」「儚い恋」「艶やかな美人」。
ぴったりですね。(漢字では、孔雀仙人掌と書くそうです)

本日のおばあちゃんのおやつ

お邪魔するたびに、いつもお手製の素朴で美味しいおやつをふるまってくれるおばあちゃん。
今回はこんなものを頂いてきました。

ジメジメとした気分を吹き飛ばしてくれるさっぱりした特製の梅ジュース。
口の中に爽やかな風が吹くようです。
一口飲んで、コップを置いて、また飲んでしまう・・・ほんのり甘くて疲れが一気に取れるようでした。
梅は夏バテや熱中症予防に効果的ですし、美味しい上に添加物が入っていない、夏に最高のジュースですね。

そしてお次は、小松菜の塩昆布和え(左)と真竹とちくわの煮物(右)。

畑で最後の収穫をした小松菜をさっと湯がいて、塩昆布と和えただけ。
食卓にこういうちょっとした小鉢のようなお惣菜がひとつあるだけでなんだか嬉しいですよね。

そして右側の“真竹(またけ)”は、春に出回る孟宗竹という竹よりも味があって美味しいと言われるタケノコです。
以前こちらの記事でご紹介したように、通常のタケノコは掘りますが、このタケノコは地上に生えているものを切って食べます。

ちょうど先日、真竹を地元の方からお裾分けしてもらって初めて茹でたのですが、節の部分が筋張っていてかなり硬い!でも、このおばあちゃんのたけのこ煮は柔らかい!どうして??

理由を聞いてみたら、節の部分は硬いので、ちゃんと切って(その部分は使わない)いらっしゃいました。
こういうのも長年の知恵ですね。

とっても美味しいおやつと次回に活かせるお料理のコツをいただきました。

編集後記

おじいちゃんのマイカーは田舎でよく見かける、軽トラ。
おじいちゃんたちは、新聞やテレビで見つけた「旬のお花や景色」を楽しむため、お天気の良い日にはおでかけをするそうです。

先日は片道小一時間のドライブをして、隣町・早川町へ。
耕作されなくなった田んぼに菖蒲を植えた方がいて、白と紫の菖蒲が一面に咲いてとても綺麗だったそうです。

そして数日前にも、隣町・南部町の公園までアジサイを見に。
天気の良い日に車をちょこっと走らせて満開のお花を見に出かけるってとても風流で素敵ですよね。

いつも日程は決めずに、晴れた日におばあちゃんと「今日行ってみようか!」と出かける。

午前中は野良仕事、庭仕事、山仕事などを済ませて、午後から思いつきでサッと出かけるなんて、お二人とも腰が軽い!お散歩をして運動にもなるので一石二鳥のようです。

「新聞とかを見て来てる人が結構いたんだよ。」と撮った写真を見せてくれました。

過去には、山梨四尾連湖の紅葉ハイキング、富士山の麓に咲く富士桜や精白寺の御衣黄(ゴイコウ)という緑色の桜を見に、軽トラでお出かけしたそうです。

お花が好きなおばあちゃんの喜びそうなところに連れて行ってあげているのが、おじいちゃんのさりげない優しさなんですね。
ここに夫婦円満の秘訣を見ました。

豊田有希

1975年大阪生まれ 小さな頃は「芋掘り」が大好きなやんちゃな女の子。 1997年一部上場企業へ就職し、2016年3月に退職するまで19年勤務。 2010年田んぼできずなづくり事業を山梨県身延町でスタート。 翌年一般社団法人風土人を設立。代表を務める。偶然か必然か名前の漢字は、「豊」かな「田」んぼに「希」望が「有」る。 好きを仕事に生きていく。

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Published by
豊田有希
Tags: 夏野菜花言葉見延町アジサイ

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