Categories: 富士山と生きる おばあちゃんの知恵

暖冬によって1ヶ月遅い炭こたつ生活がスタート。

寒さも本番ですね~。
こんにちは。
クラッソーネライターの豊田有希です。

『富士山と生きるおばあちゃんの知恵』では、山梨県巨摩郡身延町に住むおじいちゃん、おばあちゃんの暮らしの知恵を毎月紹介しています。

第28回の12月(師走)。
今年は暖冬で、いつになったら本格的な寒さになって霜が降りるんだろう…?と思いながらも、あっという間に12月を迎えました。
おばあちゃんのお家では、12月9日に炭こたつに火を入れたそうです。

炭こたつってどんなものかって?

掘りごたつになっていて、中に炭が置いてあるものです。
なにしろ電気代がかからないし、遠赤外線で体がよく温まります。
炭はおじいちゃんが炭焼きで作ったもの。
灰を上からかけると火が消え、また灰をどけると火がつきます。
よくできてますよね~。

こたつの中を覗くと炭が!

 

今年はこたつの出番が遅かったねという話になり、去年はいつ火を入れたか調べたところ…
11月7日でした。
去年よりちょうど1ヶ月も遅いことになります。
やっぱり今年の11月は暖かかったんですね。
先月紹介した皇帝ダリアも霜が降りないのでまだ咲きほこっていましたよ。

その後、この地区で今年一番の冷え込みとなったのは、12月11日。
やっと本格的な寒さがやってきました。

ひとあし早くお正月の縁起物、紅白万両

1メートルほどの小さな木に緑の葉っぱと赤い果実。
これは「万両(まんりょう)」。
冬を代表する植物ですね。
赤と白の2本が並んでいるので紅白です!(白はめずらしいそうです)
万両は、千両と並んで名前がめでたいことからお正月の縁起物と言われる小低木です。
ひざ下の高さなので下を見ないと見過ごしてしまいそうです。

ところで「万両」って今の貨幣価値でいうといくらぐらいなのでしょうか?
これは比べる時期によっても異なるそうですが、今で言う「億万長者」のようです。

米の価格から計算した【金1両】とは
江戸時代初期で約10万円前後
中から後期で4~6万円
幕末で4千円~1万円ほどになるそうです(出典:日本銀行金融研究所 貨幣博物館

ということは、とても庶民には手の届く金額ではなく、きっと夢見る金額だったんでしょうね。

この時期になるとお庭のお花はだんだん少なくなってきますが、さきほどの万両などのお庭のお花を摘んできて、玄関にお花ブーケを飾っているおばあちゃん。

紅白の万両と、白とピンク色のサザンカ。素敵ですね~。

サザンカは日本の固有種でツバキ科の一種。
花言葉は「困難に打ち勝つ」「ひたむきさ」。
寒さが強まる初冬にかけて花を咲かせることに由来すると言われているそうです。

一見、「ツバキかな?」と思うようなビジュアル。
ツバキとサザンカの違いって知っていますか?お花好きな方はもちろん知っていますよね。

まずひとつ目は咲く時期の違い。
早春から春に咲くのがツバキ。
晩秋から初冬に咲くのがサザンカ。

次に花の散り方の違い。
ツバキは花が枯れると花首からポトッと落ちますが、サザンカは花が終わると花びら1枚づつハラハラと散るそうです。
「ツバキの花は落ちても花が上を向いているのよ」とおばあちゃんが教えてくれました。

おばあちゃんのぬくもり宅配便?

おばあちゃんは、お世話になっている方へ季節ごとに採れたて野菜や手作りの加工品を詰め合わせて送っています。
私も小さい頃、離れて暮らすおばあちゃんから荷物が届くと何が入っているのかとわくわくしたことを覚えています。
一人暮らしをしていたりすると、荷物が届く嬉しさもひとしおでよね。

この時期のおばあちゃんの荷物の中には、大根、白菜、ゆず、手作りのゆずジャムを詰めて。
お子さんがいるご家庭にはおやつを入れたり、箱を開けた時の喜ぶ顔を想像して送るそうです。
まさに、”おばあちゃんのぬくもり宅急便”ですね。

ゆずは12月の最初の実は酸味が強く、2月の終わりごろに向けて段々と酸味が少なくなるようです。
以前は猿の被害にあうのは酸味の少ない2月ごろだったようですが、最近は12月のすっぱいゆずも狙われるようになったとか。
山に近い暮らしでは鹿、猿などいろんな野生動物がすぐ家の近くまでやってきます。

箸休めやおやつにも!ゆずで簡単なますの作り方

今年は大根が豊作のおばあちゃんの畑。
大根をたくさん食べたいときにオススメなのがなます。

なますといえば細切りにするタイプが一般的でお正月にも食べますよね。
今回ご馳走になったのは、イチョウ切りのなます。
おばあちゃんのなますはゆず酢で作るのですが、さっぱりしていて美味しい!
大根のパリパリとした食感とゆずのいい香りがくせになり、3時のおやつにも食べたい一品でした。
簡単に作れるので、ぜひ大根が安くて美味しいこの時期におためしあれ。

ゆずなますの作り方

【材料】

  • 大根
  • ゆず
  • 砂糖
  • (いろどりに人参を入れてもOK)

【作り方】

  1. 大根はイチョウ切りにする
  2.  

  3. 1に塩をふり1~2時間おく
  4. 2に水がでたら一度大根についた塩を水洗いし、キッチンペーパーなどで水分をしっかり切る
  5. ゆずを切ってゆずの果汁を加える。ゆずの皮も薄切りにして加えてもOK。
  6. お砂糖(おばあちゃんは三温糖)を加えて混ぜる

 

おばあちゃんに「作ってみてね~」と大根をお土産にもらったので、私も作ってみました。
おばあちゃんの味とまではいきませんでしたが…やってみると簡単!
それぞれに好きな甘さやゆずの香りの強さがあると思いますので、好みの量を適宜調整してくださいね。

コツは、「ピーラーを使わないこと」なんだそうです!
野菜の皮むきなど、子供が使っても包丁よりも断然安全なので登場回数も増えるアイテムです。
ところが、おばあちゃんによると、細切りのなますを作るときには、ピーラーを使わず包丁で切るほうが歯ごたえやシャキシャキ感がでるわよと教えてくれました。
ピーラーで切ったなますを作った時に、おじいちゃんに感想を聞いてみたそうで、「いつも(包丁)の方がいいねえ」と言われたそうです。
感想を聞かないと教えてくれないところがおじいちゃんの優しさだったりしますね(*^-^*)

意外と知らない?落花生の殻を割る場所を知ってる?

今回も、おばあちゃんにいつものおやつをいただきました。
お手製のゆずジャムの乗ったヨーグルトとメークイーンで作ったポテトフライ!

このポテトフライは本当にクセになる味。
朝ごはんをたっぷり食べて伺ったのに、なぜか手が伸びてしまいます。
美味しいものはお腹がいっぱいでも食べれるんですよね~(;^ω^)
美味しさのポイントは2つ。

  1. ねっとりとした食感のメークイーンを使うこと。
  2. 切ったポテトを常温の油に入れてから火をつけること。(じっくりと揚げるため)

さつまいもやかぼちゃでもできるそうなので、試してみたいと思います!
次にこれは、おばあちゃんの畑でとれた落花生を干して、時間をかけて焼いたもの。

直火でローストされたようで、市販のものと比べると深入りコーヒーのような香ばしい香りと中のお豆がとっても甘い!
市販のものとはぜんぜん違って驚きました。
本物の味とはこういうものを言うのかもしれません。

殻をむくとこんな状態で豆が出てきます
薄皮をむいたらちょっと黒くなった豆がでてきました

落花生を手にすると、おばあちゃんがこたつのテーブルの下からひょいっと何かを出します。
あまりの速さにいつも写真を撮れないので、今回は「撮らせて~」としっかり撮らせてもらいました。

これぞおばあちゃんの知恵!
広告で作った手作りのゴミ袋がこたつのテーブルの下にたくさん仕込まれています。
どこの場所からでもでてきます。(いったいいくつ仕込んでいるんでしょう・・・(笑))
みかんの皮など、こたつの上でおやつを食べることが多い今の季節。
こうしてその都度ミニごみ入れを使えばサッと捨てられるし、生ごみを分別してる場合でもこれなら楽ちん。
無駄に広告のごみを出さなくていいのでナイスアイデアですよね。

そして殻を割れずにモタモタしている私におばあちゃんがまた教えてくれました。

ここの場所を押すとすぐ割れるのよ~

えっ!どこどこ~?

鶏のくちばしのようにチョンと飛び出しているところの下を爪で押すと・・・
ここ!

確かにすぐ割れました!
ぜんぜん知りませんでした。。。。皆さんはご存知でした??
これで時間をかけずにたくさん落花生が食べれるようになりました!
けど、どんどん食べてしまいます…止まらない~~

美味しいおやつを食べているとあっという間に時間が過ぎていきます。
おばあちゃんのおうちの手作りおやつは本当に美味しいので、ついつい「美味しい!美味しい!」と連呼してしまうと次々と違うおやつがやってきます。(わざとではありませんよ…)

こちらは白菜漬け。
にんにくがぴりりと効いておつまみにもピッタリ。
おばあちゃんは漬物が大好きで、食卓には必ず自家製漬物が欠かせないそうです。
都会で暮らしていても無性に美味しい漬物が食べたくなる時、ありますよね。
私もおばあちゃんに教わっていろいろ漬けてみようかな~。

おばあちゃんの職場で育っている野菜たち

おばあちゃんの職場である畑では、1ヶ月たつと野菜の成長もかなり進んでいます。
今月は、「芽キャベツ」が成長している姿を見ることができました。
人間で言うと脇のところに沢山の芽キャベツが育っています!まさに鈴なり状態。

こんな生え方をしているとは知りませんでしたよね~。
しかも、ビタミンCが普通のキャベツの4倍もあるそうです。
収穫するところも見てみたいですね。

ところで、キャベツってどうしてこんな風に内側に丸まる(結球する)のでしょうか?

それは、キャベツの茎が短いということに関係しているそうで、短い茎に次から次に新しい葉っぱが生えてくるので、新しい葉っぱは先にできた葉っぱにじゃまされて、横に伸びることができず、葉っぱは上に向かって育つようになっていくとのこと。
そして、葉っぱの内側と外側では、外側のほうが日の光をよく浴びて成長が早いから、その結果として葉っぱが内側に丸まってくる、ということでした。

こちらは普通サイズのキャベツ

確かに、結球するキャベツや白菜は、茎が短いという共通点がありますね!

こちらは今からが旬の聖護院大根。
京野菜として有名ですね。煮物にぴったりなんですよ!

またこれらの野菜を使っておばあちゃんがどんなご馳走を作るのか、とっても気になります。
来年になったらどんな野菜が育っているのか、見に来るのが楽しみです。

編集後記

この時期のおじいちゃんの仕事は、山仕事。
何日も急な裏山にのぼり、竹林の整備のために竹を切り出していたそうですが、その量がこの写真です。

 

大変だったのではないですか?と聞いてみたのですが、「たいしたことないさ~」のひとこと。
高低差のある山からこの竹を降ろしてくるのも一苦労だと思うのですが…
山がある以上、整備をするのが当たり前なんだよと教えてくれているようです。

先日、集落で15~16人が集まって集落の周りにめぐらしている鳥獣害を防ぐ鉄柵の点検をしたところ、「昔こんなところに道があったかな~?」という場所に新しいけもの道ができていたそう。
人間の生活が少しずつ変わっていくように、動物たちにも生活の変化はあります。
でも、おじいちゃん、おばあちゃんがここに住んでいるからこそ、まだ動物たちが里に降りることを防げているんでしょうね。

そしていつまでもお二人がお元気でいてくれたらと願ってやみません。
今年もこの連載を読んでいただき、ありがとうございました。
また来年もおじいちゃん、おばあちゃんの手作り生活をお伝えしていければと思っています!

豊田有希

1975年大阪生まれ 小さな頃は「芋掘り」が大好きなやんちゃな女の子。 1997年一部上場企業へ就職し、2016年3月に退職するまで19年勤務。 2010年田んぼできずなづくり事業を山梨県身延町でスタート。 翌年一般社団法人風土人を設立。代表を務める。偶然か必然か名前の漢字は、「豊」かな「田」んぼに「希」望が「有」る。 好きを仕事に生きていく。

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Published by
豊田有希
Tags: 落花生炭こたつ紅白万両ゆずなます

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