こんにちは。
クラッソーネライターの豊田有希です。
富士山と生きるおばあちゃんの知恵では、山梨県巨摩郡身延町に住むおじいちゃん、おばあちゃんの暮らしの知恵を毎月紹介しています。
第22回の6月(水無月)。
まずお迎えしてくれたのは、大輪の白い紫陽花。
ひとつのお花のかたまりの大きさが顔よりも大きいものもあるんです。
全体は大きいのですが、ひとつひとつの花は小ぶりで可憐です。
手で触るとふわっふわで弾力も感じます。
この紫陽花のところでおばあちゃんの写真を撮ったら、とっても素敵な笑顔の写真になりました。
これだけ見事に咲いてくれたのは、おばあちゃんが日ごろお花を大切に育てているからなのでしょう。
挿し木で増えるのよ
と教えてくれました。
お庭があったら挿し木で増やしたいですね。
6月は、先月とは違ったお花が咲きほこっていました。
玄関の主役も交代しています。
お庭にもいろいろなお花があちらこちらに咲いています。
その中で、
このお花が好きなの
と教えてくれたのが「ネジバナ」。
花茎の周りにらせん状に桃色の花が咲くので「ねじれた」という意味で「ネジバナ」と呼ばれているそうです。
お花の大きさは数ミリという小さいお花。普通に歩いていたら気づかず踏んでしまるかもしれないくらい可憐なのですが、おばあちゃんは散歩をしている時に気づくそうで、「あ、ここにネジバナが咲いてる!」と見つけるんだそうです。
どこからか種が飛んできてお庭の片隅(本当に隅っこなんです)に咲いているのを草取り中に見つけたんだそうです。
お花の話をしている時のおばあちゃんは、少女のようです。
そして、こちらは月見草。
夕方に純白の花がゆっくりと開きだし、開花。
夜半には、薄ピンクから写真のようなピンク色に変身し、朝にはしぼんでしまうそうです。
今はピンク色ですが、夕方に咲くときの色は純白。
おばあちゃんは、夕方に様子をみて、花が開きそうだなぁ~と思ったらじっくりと観察するそうです。
このつぼみはまだ今日咲かないかな~なんて観察するゆとりのある時間、持ちたいですね。
こんな風にお花が開くのよ
と教えてくれています。
こんなところに、おじいちゃんのいたずらがあるのよ。
と教えてくれたのが、こちら。
木の幹の穴の開いたところから、朝顔が顔を出しています。
穴の開いたところに、おじいちゃんが土をいれ、朝顔を植えて、ツルがまくようにと紐を木にぐるぐると巻いてつくったそうです。
おばあちゃんは、初めはなんだかわからず、「なんでこんなところに紐が巻いてあるんだろう?」と思っていたそうですが、朝顔が咲いてようやくおじいちゃんのいたずらに気づいたそうです!
仕掛人のおじいちゃんは、仕掛けてもう満足してしまったのか、お花が咲いていることには気づいていなかったそうです。
こんなおちゃめ心を持って生活したいですね。
いたずらというわけではないですが、もうひとつ「おもしろいものがある」とさらに見せてくれたのがこちら。
とっくりはち(徳利蜂)の巣です。
この蜂は、泥で、徳利(とっくり)のような形をしたつぼ状の巣をつくるそうです。
コードにしっかりくっつけて作ってあるので、巣が落ちない構造です。
しかもこの蜂の親はこの巣で子育てをせずに、巣の中に1つの卵をつるし、子供用の幼虫を蓄えて封じるそうです。
卵からかえった子供は、蓄えてあった幼虫を食べて、巣から出て行くそうなので、この巣はもう出て行った後のようです。
他のところにできた巣を見せてもらったのですが、藤の枝にとまるように作ってあります。
決して、蜂は芸術作品を作るつもりではないはずですが、泥でつくったマーブル模様が芸術作品のように見えませんか?
子供たちに見せたら興味津々で大歓声が上がりそう!!!
下から中をのぞいてみると、6角形の蜂の巣がきれいにできていました。(写真では暗くて見えないのですが)
6月のおばあちゃんの畑では、夏野菜の収穫が始まっていました。
畑で収穫できるものを見ていると季節を感じることができます。
もちろんスーパーでも感じることができますが、種や苗から育てて、大きくなり、猿や鹿と知恵比べをしながら、ようやく実をつけてくれるとありがたみが違います。
今日のおばあちゃんの採れたて野菜。
曲がりきゅうりもいい感じです!
このきゅうりのおすそ分けを頂いたので、帰って味噌きゅうりで食べたら、猛烈に美味しかったです。
みずみずしくて、実のつまったきゅうりでした。
<トマト>すずなりです。こちらは<パプリカ>色づくのを待っているそう。
立派な株の<茄子>。存在感があります。しっかりと実もつけています。
<さといも>たくさんできそうですね!ネットを棒で上げ、猿から<いんげん>を守る工夫。
これは、もぐら(茂倉)うりといって、おばあちゃんが住む身延町のお隣の山梨県早川町茂倉地区で栽培されてきたうり。
早川町は日本で最も人口の少ない「町」として知る人ぞ知る町。
このうりは、もう少し太くなったら収穫して、細切にして味噌をつけて食べるそうです。
おばあちゃんが収穫したばかりのいんげん(にどなり)を胡麻和えにしてご馳走してくれました。
いんげんの皮の部分が普段食べるよりも厚くて、やわらかくて、存在感があるんです。
とても美味しかったです。
<左はまだまだとれるわらび。右がいんげんの胡麻和え>
ごまがふんだんに使われた胡麻和え。
すごく風味がでていたのですが、炒りゴマをすり鉢でする前に、フライパンで炒って風味をだしているようです。
この一手間が美味しくさせるんですよね。
なかなか普段は端折ってしまいがりな一手間、大事にしたいなと思いました。
6月の季節の仕事といえば、梅仕事ですね。
おばあちゃんは、毎年小梅を梅干にしています。
梅レシピはこちら
今回は、小梅に赤紫蘇を入れる前の一品を教えてもらいました。
基本的には梅干の作り方と途中まで一緒です。
今回はアレンジバージョンです。
分量
- 梅 1kgに対して 塩200g(約20%位)
- しお昆布(適量)
- 小梅を洗い、ざるにあげて水を切る(水がなくなるまで置いておく)
- 水がきれた梅をボールに入れ、分量の塩をいれて、梅に塩が馴染むまで梅に塩をすり込む
(塩もみをすることで、出来上がった梅の種離れがよくなると言われているそうです)- 瓶などの容器に入れて、上に重し(梅の量の2~4倍位)を乗せる。
- 数日立つと水があがってくるのを確認する
- しお昆布と梅を瓶につめて味をなじませる
できあがった梅しおこんぶがこちら。
おつまみにぴったりのお味です。
瓶の中。
赤紫蘇を入れる前の青梅としお昆布を混ぜるだけの簡単。
ぜひ、お試しください。
6月も後半ですね。
私も身延で梅をたくさん採らせてもらいました。
高齢化が進む地域では、梅の木なども取る人が減ったりしています。
下草を刈ったり、整備をするのも一苦労なことも理由にあります。
地域の人が守ってきた梅を頂き、梅干を漬けました。
毎年、梅干だけは続けていて、何かあったときにもご飯と梅干と味噌があれば生きていけるかなと。
備えあれば憂いなし、でありたいです。