Categories: 富士山と生きる おばあちゃんの知恵

お花の王様、ヤマユリが咲くおばあちゃんの自慢のお庭

こんにちは。
クラッソーネライターの豊田有希です。

富士山と生きるおばあちゃんの知恵では、山梨県巨摩郡身延町に住むおじいちゃん、おばあちゃんの暮らしの知恵を毎月紹介しています。

第34回の7月(文月)。
季節を告げるお花たちの話からスタートです。

圧倒的な存在!お花の王様

「今年はヤマユリが16輪も咲いたの!ちょうど今週あたり来てくれたらいいのにねえ、とおじいちゃんと話していたのよ~」

という第一声に誘われてさっそくお家の横にあるお庭に向かうと、おばあちゃんの背たけをはるかに超える見事なヤマユリが咲いていました!
下から咲き出したヤマユリの蕾は、残すところあと3輪を除き、ほぼ咲いているというかなりベストに近いタイミングです。

百合はやっぱりお花の王様よね!

百合は、大きさといい香りといい、圧倒的な存在感です。

日本には、10種類以上のヤマユリが自生しているそうです。

日陰がちの斜面や、明るい林、草原に見られる球根植物で、花は10輪ほどを咲かせ、白地に黄色い帯状の筋とえんじ色か紫褐色の斑点模様がヤマユリの特徴。

花言葉は、荘厳、威厳、純潔、飾らぬ美などなど。
気品溢れるこのお花の姿が花言葉に現れていますね。
まさに、お花の王様のような風格を感じます。

昔は山によく自生していたヤマユリですが、おばあちゃん曰く、イノシシが地面を掘って球根を食べてしまうせいで今はかなり減っているそうです。
ヤマユリの天敵はそう、イノシシなのです。

確かに、百合の根っこと言えば、ユリネと言われて日本料理に使われます。
ポクポクしていて甘味があって美味しいんですよね。

山に近いここでの暮らしは、猿、鹿、いのししなどの野生動物がすぐ隣り合わせで暮らしているという現実を感じさせます。

ところで、ヤマユリはおばあちゃんの暮らす身延町の「町の花」。
ということは、以前は町のいたるところで咲き誇っていたということですね。
今や貴重な野生のヤマユリ、おばあちゃんのところで大切に守られてほしいなと思います。

そして、ヤマユリのすぐ近くにも小さい花を見つけました。

葉っぱだけかと思っていたら、そこから茎が伸びてその先に小さなお花が咲いていてびっくりしました。

葉っぱが折り鶴のように見えるということで、オリヅルランと呼ばれているようです。
元々はアフリカやインドなどの熱帯に生息しているお花なんですって。

確かに折り鶴みたい!花言葉は「子孫繁栄」「祝賀」。

葉っぱの間から、ランナーと呼ばれる白い茎が伸び、その先に沢山の子株をつけることから、これらの花言葉が付いたそうです。
屋内に置く植物として人気らしいので、お持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
この子株を切って水につけておくことで根が生え、そのまま土に植えることもできるそうです。
どんどん分けて増やしていけるのも「子孫繁栄」という花言葉にぴったりです。

梅雨の始まりと終わりを知らせる「葵(あおい)」

おばあちゃんに「葵も咲いているのよ」と言われて目を向けた先には、大きな赤い花が咲いていました。

この葵は高さ2メートルくらいになり、梅雨に入ると下から順番に咲き始めます。
梅雨が終わる頃に花が終わると言われるお花で、別名「梅雨葵(つゆあおい)」と言われているそうです。

もうすぐこの花も終わるから、梅雨ももうすぐ終わりね。

葵が咲き終えると、本格的な夏がやってくる。
今はお天気レーダーがあって科学的に梅雨入りと梅雨明けを知る私たちですが、むかしはこのように身近な自然の変化を見て季節を感じとって暮らしてきたのでしょうね。
日本人らしい風流を感じます。

都会に暮らしていても、紫陽花が咲き始めると「もうすぐ梅雨だなあ」と思ったり、朝顔の花が咲くと「夏だな~」と思ったりしますよね。
来年からは葵の花を見て梅雨の始まりと終わりに気付けるようになるかもしれません。

葵の花の色は、白、ピンク、赤と色々。
花言葉は、「大望」「野心」「豊かな実り」。

季節を知る花といえば、秋の七草のひとつである、オミナエシ。
盆花です。

お盆に山からとって来て仏壇に飾る花だから「盆花」。

【盆花とは、古くは盆の10日前後に山からとってきたもので、その行事を花迎えという。盆の精霊が盆花を依代(よりしろ)として、山から家々へ迎えられるとされている。】(ブリタニカ国際大百科事典より)

昔は山に咲いていたオミナエシ。
おじいちゃんの家では山からとってお盆前に売っていたこともあるそうです。
今は、野生のオミナエシを鹿が食べてしまうそうで、おばあちゃんの花壇でこんなに綺麗に咲いています。

花言葉は、「美人」「はかない恋」「親切」。

そして、夏の訪れを感じさせるお花も咲いていました。
ひまわりです。

まだ咲き始めなので、これからどんどん咲きそうです。
ひまわりの花言葉は、「あなただけを見つめる」。
ロマンチックですね~。

まるで太陽のような見た目からも、夏の代表花です。

おばあちゃん、ミヤマクワガタを救出!

ある日のこと、おばあちゃんは5センチ位のクワガタを雨戸近くのクモの巣で発見。
なんと、クモの巣に引っかかり動けなくなっていたクワガタをクモの巣から引き剥がし救出してあげたそうな。

ずいぶん大きなクワガタだな〜と思っていたら「ミヤマクワガタ」だったことが後から発覚。

ミヤマクワガタは、ノコギリクワガタと並んで人気のあるクワガタで、天然のものは今は手に入りにくくなっているそうなので、とても貴重。
数千円で売られているらしい!と聞いてびっくりしたそうです。

すみません…怖くて近づけなくて全貌が見えなくなってしまいました…

郵便配達の人も玄関のクワガタを見て「これはミヤマだね」と珍しそうにしていたそうです。

夏の間は、今はすっかり成人した子供たちがかつて使っていたカゴに入れてしばらく観察して、いずれ山に返します。
小さなクワガタは時々見つけるそうですが、ここまで大きなクワガタは久々に見たそうです。

ミヤマクワガタは背中にグレーがかったすす模様がついているのが特徴なのですが、これを汚れと勘違いしたおじいちゃんはミヤマクワガタの汚れをとってやろうと水で洗い、「汚れが取れないなぁ」と言っていたそうです。
後から模様だと知り「そりゃ取れないはずだ!」と大笑いしたんですって(笑)。

おじいちゃんならではのおもてなし

毎年、田んぼのすぐ脇に野生のミニトマトがなります。
小さな子供達が赤い実を見つけると、喜んで「食べていいの?」と聞くので、おじいちゃんは「いいよ~。トマトだよ」と答える。

でもよくよく聞いたら、これはここに偶然自生したではなく、おじいちゃんのはからい。

毎年田んぼに来る都会からのお客さんが喜んでくれるようにと、ここで自生のトマトを育ててくれているんだそう。
このトマトは実の大きさが親指の爪ぐらい。
ミニトマトよりも小さなマイクロトマトのようなサイズ。
植物から直接もいで食べるという経験の少ない子供達に大人気なのですが、毎年茎が縦横無尽に伸びたり、地面に這ってしまうことで収穫できないトマトがあることに気づいたおじいちゃん。

なんと、今年は収穫しやすいようにトマトの柵を作ってくれていました。

山から切った細い竹を使って、支柱と柵ができています。

まだ緑色ですが、実がいっぱい!子供たちもたくさん食べられますね。

これなら、トマトの枝が地面に這って取りにくいということがなさそうです。
田んぼに来てくれたお客さんに出す、おじいちゃんならではのおやつですね。
色付くのはこれから。
ちょうど秋のお米の収穫時期に沢山のマイクロトマトが袋いっぱいに取れます。

おじいちゃんの優しい気遣いと腕の素晴らしさには、、、いつも本当に頭が下がります。

先日、そんなおじいちゃんの見慣れない姿を目撃しました!

いつも作業着スタイルが定番のおじいちゃんなので、若い格好にびっくり!これはおじいちゃんとおばあちゃんが日課にしているウォーキングのスタイルなんだそうです。

健康の秘訣は、田んぼや庭のお手入れに加えて、歩くこと。
雨の日以外は、毎日1時間のウォーキングをお二人は欠かしません。
私も「運動しなくちゃ!」とウォーキングをすることがありますが、真夏や真冬はどうしても「今日はいいか。。」とサボりがち(;^ω^)
続けているお2人を見習わなくては…!

電車移動が基本である都会人のほうが意外と足を使っていて、田舎の移動はどうしても車になってしまうから、こうして自分の足で歩くことが大事ですよね。

日照不足の野菜たちは?

今年の夏野菜、高騰していますよね…きゅうりや茄子はずいぶん高くて手が出せないという方も多いと思います。
の原因は日照不足。

おじいちゃん・おばあちゃんの畑でもそれは同じです。
先月はあんなに元気だった野菜たちですが、7月の不安定な天気のせいで野菜たちはいまいち元気が出ていないようです。

日照不足と雨の影響で、茄子はこんな形に。

でもようやく梅雨が明けて今度は快晴続きですから、これから期待できそうですね。

トマトも日照不足の影響で色づきが遅れているようですが、少しづつ収穫出来ているそうです。

おばあちゃんのトマト。きゅうりと人参の漬物はもちろん自家野菜から作ったお手製です。

一方、きゅうりは日照不足でも収穫ができているようでした。

収穫されたきゅうり。
3種類並んでいます。
奥から、濃い緑のきゅうり、真ん中のトゲトゲが出ているのが「四葉(すいよう)」きゅうり。
一番手前の少しぼてっとした形のものは「もぐらうり」という隣町早川町で作られている瓜。

もっと成長させるとかなり大きな瓜になるのですが、おばあちゃんはあえて小さいサイズで収穫して写真手前の酢の物に使っていました。

きゅうりは収穫し始めてから約2カ月間毎日取れるそうで、おばあちゃんはただいま別の場所で第二弾のきゅうりを育てています。
植える時期をずらすことで、約4カ月間きゅうりを食べ続けることができるという計画なんです。
毎日採れたて野菜が食べれるっていうのは本当にうらやましいですね。

今月のおやつは「らっきょう漬け」

おばあちゃんのところでらっきょう漬けと梅ジュースにした梅の実をいただきました。

らっきょうは1つの粒から8~12個ぐらいの実ができるそうです。
そして収穫せずにもう一年土の中で寝かせると、実のしまった小粒のらっきょうが30個ぐらい収穫できるとか(土の状態によって収穫量は異なります)。
土の中で新鮮なまま保存できる保存食ってところでしょうか。

おばあちゃんは半分を収穫し、半分は来年の収穫用に取ってあるそうです。

らっきょうは、収穫して根と茎を取っても成長を続けるそうなので、らっきょう漬けをする場合は、新鮮ならっきょうを選び、すぐ調理することがポイントのようです。

スーパーで売っているらっきょうは根がカットされていますが、おばあちゃんの畑で採れたらっきょうにはもちろん根がたくさんついています。
これをカットしたり洗ったりするのが本当に大変で、おばあちゃんは「作るより買ったほうが楽よね」と笑います。

でも、やはり自分で育てたらっきょうで手間暇かけて作ったらっきょう漬けは美味しいですよね。

実際、頂いたらっきょう漬けは辛味がなくて本当に美味しくて、、、もう漬ける時期は過ぎてしまったかもしれないのですが、作り方を教えてもらいました。

らっきょう漬けの作り方

【材料】

  • 生らっきょう 1キロ
  • 酢 400cc
  • 三温糖 200g
  • ※分量は目安ですが、お好みで酢や砂糖の量を変えてください。

  1. らっきょうを洗う
  2. 水にらっきょうを入れ沸騰させる(シャキシャキ感を残すように茹ですぎないことがポイント!)
  3. 2.を茹でこぼし、冷ます
  4. 酢に三温糖を混ぜて溶かし、らっきょうを入れて瓶に入れ1ヵ月ぐらい冷暗部に置く(らっきょうがひたひたに液にかぶるくらいが目安)

※酢と砂糖を一度煮てかららっきょうを入れるという方法もありますが、おばあちゃんは沸騰させずに常温のまま漬けるそうです。

漬物は体にいいですし、小腹がすいたときに食べるおやつとして最適。
スーパーでらっきょうを見かけたらぜひ自家製らっきょう漬け、作ってみてください。

編集後記

今回の訪問で、おばあちゃんが本を見せてくれました。
お花の図鑑です。

スーパーへ買い物に行った際、おじいちゃんがセールになっているこの本を見つけて、買ってみたら?と言ってくれて手に入れたんだそうです。
おじいちゃん、本当によきサポーターですね。

おばあちゃんは、図鑑を見てお庭に咲いている花にはマーカーを引いています。
「お花の名前はすぐ忘れてしまうから」と。

本を見るおばあちゃんがなんだか楽しそうで、おばあちゃんの花の世界がますます広がりそうです。

豊田有希

1975年大阪生まれ 小さな頃は「芋掘り」が大好きなやんちゃな女の子。 1997年一部上場企業へ就職し、2016年3月に退職するまで19年勤務。 2010年田んぼできずなづくり事業を山梨県身延町でスタート。 翌年一般社団法人風土人を設立。代表を務める。偶然か必然か名前の漢字は、「豊」かな「田」んぼに「希」望が「有」る。 好きを仕事に生きていく。

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Published by
豊田有希
Tags: ヤマユリらっきょうミヤマクワガタ花の図鑑

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