こんにちは。
くらそうねライターの豊田有希です。
富士山と生きるおばあちゃんの知恵では、山梨県巨摩郡身延町に住むおじいちゃん、おばあちゃんの暮らしの知恵を毎月紹介しています。

第26回の10月(神無月)。
10月に入ってもなかなか晴れの日がありません。
おばあちゃんの住む身延町では、9月中旬頃から稲刈りシーズンを迎えます。
今年は秋に入ると雨が多く、その上に台風も直撃し、雨天ばかりが続きます。
そんな中、小雨がぱらつく中ではありましたが、10月6日にえいやっ!と稲刈りをしました。
この日の天候は、雨が降ったり、晴れたり、また雨が降ったり・・・の繰り返し。
その度に、レインコートを着たり、脱いだり・・・と天気に翻弄される私たち・・・。
自然は本当に厳しい!

この日は、おばあちゃんも助っ人として手伝いに来てくれました。
稲を刈った後に、藁で結わく作業があります。
この作業はコツが必要で、初めての人はなかなかうまくいきません。

しかも、稲刈りは年に一度の行事なので、やっと「覚えた!」と思ってもまた忘れてしまう、、、という繰り返しです。
そんな私たちに、文字通り手取り足取り、優しく、丁寧に教えてくれます。

右がおばあちゃん。服装もばっちりです

農作業は男性と女性の共同作業。
男性は収穫した米を運んだり、稲を干す「うし」と呼ばれる干し竿を運んだり、設置したりすることが主な仕事。
女性はこうやって刈った稲を結ぶのが仕事。
自然と役割分担ができてきたんですね。

その後、稲刈り後に2週間天日干しをしたお米。
脱穀の日を迎えたのですが、これまた曇りの日ばかり続き、なかなか思うように乾きませんでした。
本来は「うし」と呼ばれる干し竿にかけてお日様の力で天日干しをし、徐々にお米の中の水分量を減らしていくことで美味しい新米になると言われています。
ところが、今年は9月~10月に雨が多かったため、「いつ稲刈りをしようか」の次は、「いつ脱穀をしようか」と皆さん悩まれたほど晴れの日が少なかった。
何とか脱穀したものの、天日干しだけでは乾ききれなかったお米は、おばあちゃんが晴れた日にブルーシートの上に干し、太陽の力と風の力を借りて乾かしてくれました。
新米が食べれるまでには、本当にいろいろなドラマがありました。
今年は悩んだ記憶ばかりです。
最後に、すべてのお米の脱穀が終わったときにはおじいちゃんが「バンザーイ!」と手を上げて声にだしたほど、今年の米づくりは大変でした。

手作りのカカシ。カカシもバンザーイ?!

冬野菜がすくすくと育っています

夏野菜がすっかり終わり新旧交代をしたおばあちゃんの畑では、冬に向けて蒔いた野菜たちがすくすくと育っていました。
白菜、大根、人参、ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどなど。
冬に食卓で活躍しそうな野菜ばかりです。
ちょうど家を訪ねると、大根の間引きをしていたおばあちゃん。
大根の葉っぱがいきいきとしてとても元気が良さそうです。
これは、美味しそう!

葉っぱがいきいき、そして長い。  どんな大根に育つでしょう?

左からニンジンと大根。   左からほうれん草と小松菜

こちらは にんにく。   はくさいの葉っぱ。巻いてます

土の上に乗せてあるベージュ色のものは、籾殻。
土の上に乗せることで冬は寒さから守り、夏はお日様の乾燥から守ってくれるそうです。
そして雨が降った時に葉っぱに雨がはねるのを防ぐ役割もあるそうです。

さて、これはなんだかわかりますか?ねぎのような・・・?にらのような?
答えは「らっきょ」だそうです。
らっきょの苗を数本植えたら、かなり増えたそうです。
収穫したららっきょ漬けがたくさんできそうです。

畑をいろいろ見ていたら「今年は大しょうがを植えたみたのよ」とおばあちゃんが案内してくれました。
しょうがにもサイズがあるようですね。

笹の葉かと一瞬思ってしまいましたが、この下(地下)にしょうがが育っているそうです。
「抜いてみようか?」と抜いてくれました。

抜いたらこのサイズ!さすが「大しょうが」。その大きさにびっくりです。

ちなみに、こちらは小さいしょうが。
ぜんぜん大きさが違います・・・。

大きいのと小さいのを比べるために掘ってもらいました。
右が大きなしょうが。
左上のピンク色のものが小さいしょうが。
そして、左下の茶色のしょうがは「親しょうが」

これを土の中に植えて、育てたんですね。
お土産に頂いたのですが、しょうがの葉っぱから「しょうが」の良い香りがするので食欲をそそります。
ちなみに、猿はしょうがを食べないようですよ。
香りの強いものは人間が好むんでしょうか。

そして、この二つのしょうがをおばあちゃんが、お手製の梅酢づけにしたのがこちらです。
左が大、右が小ですね。
味はと言うと、大きいほうが大味なんだとか。
味見をさせてもらいましたが、味はやはり違いました。
小さいほうが、辛みがきいていました。

梅の時期に梅、塩、砂糖、酢でつけた梅酢につけたものだそうです。
梅を漬けた後の梅酢もしっかり再利用されていますね。

この日、おじいちゃんが、大きなスコップを持って何やら箱の中をせっせとかきまぜていました。

落ち葉や収穫が終わった野菜の茎などを土と混ぜて、腐葉土にするのがおじいちゃんのお役目だそうで、
それを肥料にしておばあちゃんの畑にまくそうです。

畑仕事はおばあちゃんの「職場」ですが、おじいちゃんも一役買っているそうです。
いやー若い!

お正月には手作りの炒り落花生を賑やかに

何とか猿の攻撃から守られた落花生。
間一髪のところで収穫できた大事な収穫物です。

落花生は取りたてを生で茹でて食べるのがご馳走なのですが、おばあちゃんは更に干していました。
2週間くらい干して、振ってカラカラと音がするようになったら、炒り落花生を作りましょう。
おつまみに良く食べるあれです。

炒るのは、食べる直前がいいそうです。
それまでは紙の袋や缶に保存しておくそうです。
炒るときは、殻がついた状態で、フライパンでまずは強火。
フライパンが温まったら、細い火にしてコロコロを動かしながら転がすそうです。
おばあちゃんは、おじいちゃんが作ってくれた炭の火でやることが多いそうです。
普通のガスだと、時間はだいたい30分くらいということですが、できたかどうかは「味見」して確かめてくださいね。

食べるときに殻から出すのを不思議に思いました。
最初から豆を出してどうして炒らないんだろうかな?と。
すると、おじいちゃんのおじいちゃんは、むく時の音や殻が残るのが賑やかでいいとお話されていたそうです。
お正月などは炭のコタツに皆で入り、皮を剥きながら食べたのかもしれません。

おばあちゃんの10月のお花畑

今月もおばあちゃんのお庭にはお花がいっぱい咲いていました。
おばあちゃんの家に通うようになり、お花の名前を少しずつ覚えるようになりました。

フジバカマの花が群生しているところに、青色のきれいな蝶が蜜を吸っていました。
羽をゆっくりと開いたり、閉じたりしながら、蜜を悠々と吸う姿がとてもきれいでした。

秋スミレ。
紫、白、ピンクと3色が咲いていました。
色の濃い部はベロアのような気持ちの良い肌さわり。
何度もさわりたくなります。

ヒャクニチソウ。
ピンクや赤色など数種類の色があってとてもきれいでした。

白のホトトギス。
きちんと整列して植えられていました。

この季節は菊がきれいですね。こちらはダンギク。
段々に花が咲いています。

私が見とれてしまったのは、シュウメイギク。
真っ白に黄色という色合いが青空に映えていました。
おばあちゃんは、花がパァァァンと咲いている状態より、「つぼみから少し咲いたくらいがかわいいわ」と言っていました。
来月はどんな花が咲いているのか楽しみです。

編集後記

10月の身延町といえば、特産の「あけぼの大豆の枝豆」が年に一度の旬を迎えます。
10月の10日頃から25日頃というほんの2週間~3週間が「短い枝豆の季節」。
昔から身延町の「あけぼの地区」で大事に種が守られてきました。
今は身延町の特産品として少しずつブランド化されてきました。
普通の枝豆よりも大きさが大きく、糖度が高いのが特徴です。
今年は9月に雨が多かったため、実の膨らみが例年に比べて小さく、甘みも少し落ちるようですが、それでも美味しい枝豆です。
この枝豆を食べると「エンドレス」。
手が止まらなくなってしまいます。