こんばんは、クロです。

今回は二世帯住宅についてのあれこれをまとめて記事にしてみました。二世帯住宅を造るにあたっては「これで正解」という攻略法がありません。なぜなら、各世帯で事情も環境も大きく異なるからです。ですので、”これもひとつの考え方”ぐらいに捉えていただければ幸いです。

完全分離型がベストと誰が決めた?

二世帯住宅の形態としては、完全共有型、部分共有型、完全分離型の3種類があると言われています。

SNSやblog、雑誌などでは各世帯のプライバシーを確保できるということから、完全分離型がベストの選択という意見が多くあります。しかし、同じ敷地と家屋に住む以上はプライバシーの確保といっても限界があります。とあるハウスメーカーの営業さんと打ち合わせをしたとき「玄関を1・2階で別にしようが、壁の中にグラスウールを詰め込もうが、人の居る気配までは消せません。」と言われたことがあります。ごもっともな意見です。住む場所を完全に分けた敷地内同居でさえもプライバシーの問題は起きると聞きます。そんなわけで、視点を変えて「これからどれぐらいの期間を一緒に暮らすか。」という観点から形態を考えてみるのはどうでしょう。

  • あと30年間なら完全分離型が最適でしょう。親世帯はまだ若いでしょうし、生活リズムも各世帯で全く異なるからです。
  • あと20年間なら部分共有型が最適でしょう。当初はいいのですが、歳を経るごとに親世帯は身体が不自由になるからです。
  • あと10年間なら完全共有型か部分共有型が最適でしょう。目の前に介護に対応できるよう準備すべきです。

二世帯住宅は必ず解消されるものです。そのため、生活の変化に対応できる家造りを考えることは重要です。わたしも当初は完全分離型を検討していましたが、各ハウスメーカーと打ち合わせを進めるなかで部分共有型に考えを変えていきました。決め手は「両親の身体が不自由になったとき、2つあるバスルームとキッチンを洗うのは誰なの?」という妻の言葉でした。

二世帯住宅のメリット

二世帯住宅を計画中のわたしが言うのもなんなのですが、メリットは皆無に近いです。よく「義両親に子育てを手伝ってもらっています~。」というキラキラした悪質なプロパガンダがハウスメーカーの広報誌に掲載されていたりするのですが、妻からすれば義両親は赤の他人ということを忘れずにいた方が幸せになれそうです。実家を建て替えるなら土地を購入する必要がないのは大きなメリットです。やっと見つけた土地の隣近所に奇人変人が住んでいたら目も当てられないので、住環境が事前に把握できているのは安心に繋がります。親の保有資産次第ですが資金援助に期待できることもメリットです。

二世帯住宅のデメリット

二世帯住宅の形態にもよりますが、各世帯分のバスルームやキッチンを重複して設置しなければいけませんし、それだけ施工面積も広がる傾向にあります。建物本体の費用が嵩むことは二世帯住宅の最大のデメリットです。また、各世帯の意見が衝突して間取りの方向性が全然定まらないという問題も起こりがちです。わたしは父親の「リビングは畳敷き」「寝室は畳敷き」という謎の要望を撤回させるために膨大な時間を消費しました。二世帯住宅の建築は異なる文明を持った民族同士の衝突と思ってください。心と時間に余裕を持ったスケジュールで挑みましょう。

二世帯住宅が得意なハウスメーカーはありません

「二世帯住宅という単語を作ったのはヘーベルハウスです。」と旭化成ホームズの営業さんが自慢気に言っていました。しかし、ヘーベルハウスでなければ二世帯住宅を建てられないわけではありません。極論を言えばどのハウスメーカーであっても二世帯住宅は建てられます。しかし、家を建てるにあたっての利害関係者が多くなるわけですから、高い調整能力を持っている営業さんに担当してもらうことが必須条件になります。つまり、ハウスメーカーで選ぶよりも営業さんの力量を見極めて選ぶことが肝心だと思います。ちなみに、一条工務店のi-smartは基本的に総二階建てになるので、どちらかといえば二世帯住宅には向いていない商品です。(バルコニーや吹き抜けで2階の施工面積を調整するというテクニックがありますが、往々にして2階部分が大きくなりすぎます。)

わたしはこうやって二世帯住宅を造りました

親世帯・子世帯がお互いの要望を出し合って必要な住宅設備を割り出します。複数のハウスメーカーに同一条件で相見積もりが取れるようになるので、早い段階で要望がまとまると打ち合わせが飛躍的にスムーズになります。営業さんに送りやすくなるのでExcelシートにまとめたりするといいですね。

  • 玄関・キッチン・バスルーム・洗面台・トイレは各世帯に必要ですか。
  • 子どもは将来的に何人欲しいですか。
  • 個室は何部屋必要ですか。

色々と想像を巡らせていくと、自分たちにとってベストな間取りが徐々に浮かび上がってくると思います。

次に、各世帯の家事分担を決めます。これは地味ですが重要なプロセスだと思います。共有部分(特に水回り)をどうするか決めておかないと、住み始めてからの衝突に繋がりかねません。無理のないように、将来的なことを考えて決めましょう。

  • 共有部分の掃除は誰が行いますか。
  • 食事の準備は誰が行いますか。
  • 庭や植木の手入れは誰が行いますか。

最後に、お金の話をします。お金のことは実の両親であってもデリケートな問題です。金の切れ目が縁の切れ目とも言いますので、誤解が起きないように丁寧に話しておきましょう。

  • 光熱費は各世帯で折半しますか。
  • 固定資産税はどうしますか。
  • 食費は折半しますか。

いかがでしたか。キラキラした単世帯住宅の家造りに比べて、二世帯住宅は地を這うような泥臭い家造りにならざるを得ません。ジェネレーションギャップって意外と手強いもので、親世帯と意見が合わないことも日常茶飯事です。家造りの先に待っている同居生活にも期待と不安が入り混じった複雑な思いがあります。でも、今までの人生でここまで両親と真剣に意見を交わしたことはなかったので、他の人よりちょっと得難い経験をしていると思っています。

次回は打ち合わせのときにいろいろ考えたことについて綴っていきたいと思います。