設計打ち合わせ用に工務店からもらったヒアリングシートに、「ファンの建築家はいますか?」という質問があり、迷わず「伊礼智さん」と書きました。

家づくりを決心した頃、情報収集のために書店で住宅本を探していたとき、たまたま見かけた本に伊礼さんのつくったお家を見つけて、「美しい…」と惚れ惚れしました。

静謐で上品な雰囲気。
どの施工写真を見ても、見飽きない。
いつまでも眺めていられる心地良さを感じました。
それまで自分の「好み」が曖昧だった私が、「これだ!」と確信できました。

工務店との打ち合わせの中で、設計士さんから「伊礼さんファンなら、天井低いのは大丈夫ですか?」という話が出ました。
ここの工務店のつくる家は、天井が低めなのです。

一般的に、天井は高い方が開放感があり気持ちが良いと言われていますが、伊礼さんによれば、天井を低くした方が落ち着きが感じられ、同じ床面積なら天井が低い方が部屋が広く見えるとのこと。
その他のメリットとしては、階高が抑えられるので階段の面積がコンパクトにできたり、蹴上も低めにできて上り下りしやすくなったりします。
さらに、天井高を1割低く設計すると、冷暖房費も1割削減できるとか!?

それと、私がとても好きなのは、開口部の上に垂れ壁がなくスッキリ見えるところ。

(画像はお借りしました)

でも、設計によっては天井の低さが圧迫感に繋がる場合もあり、そこは設計士さんの腕の見せ所ではないかと思います。
我が家の場合は、吹抜けをつくって高低差をつけたり、庭に面した大開口を設けて広がりを感じさせる視線の抜けをつくったりするなど、天井の低さを感じさせない工夫がされています。

天井高は、リビングなど1階の居室は2230mm、キッチン・納戸は2210mm、ウォークインクローゼットは24時間換気システムが天井上部に取り付けられているので、その分下がり天井でさらに低く2050mmとなっています。

完成するまではどんなふうになるかドキドキでしたが、友人が遊びに来た時、普通より天井が低いんだという話をしたら、「全く気づかなかった」と言っていました。

実際住んでみて、天井が低いことによる圧迫感など、デメリットは一切感じませんが、ウォークインクローゼットでパイプの上の枕棚の高さはあまり確保できないので、枕棚に大きなものを置きたいという場合はデメリットになるかもしれません。
我が家では、枕棚に置きたいものはあまりないので、特に困ることはありません。

最後に…
伊礼さんも著書で、

天井が低いほうが良いというのではなくて、低いのもいいと理解していただけると幸いです(笑)。

引用元:「小さな家」70のレシピ

と書かれているように、決して高い天井を否定するものではありませんので、誤解のないようにお願いします。