もうそろそろ夏休みも終わり。
あまり家族サービスできなかったお父さん、お母さんは子どもからどこかに連れて行って欲しいとせがまれてお困りではないでしょうか。
そんな時はぜひ、夏休み最後の思い出に、家族で近場の川に行ってガサガサをしてみませんか?
なんといっても無料で遊べますし、人混みの心配もなく、子供の学習にもなります。
しかし住んでいる所が都心すぎて川がないという方は、ごめんなさい。
その場合、川があるちょっと郊外へ行かなければならないかもしれません。
しかし、山奥まで行かなくても、下流で楽しめるガサガサの遊び方を紹介します。
上流の川がガサガサに不向きな理由は、上流(渓流)の川はフライフィッシングやテンカラなど、渓流釣りの対象となるからです。
水の流れは速く、水温も低いので、どれも多種多様な生き物を育むには不向きです。
棲んでいる魚はイワナ、アマゴ、ヤマメ、アユ、アブラハヤ、ウグイなどの川魚です。
実際、川に潜ってみるとたくさん渓流魚が泳いでいますが、捕まえるには本格的な釣り道具が必要になります。
上流の川は釣り道具がないと楽しめないところですが、下流は「多種多様な生き物が採れる」場所なのです。
川の近くに住んでいる人でも「魚がいるなんて知らなかった」「こんなに生き物がいるんだね」という声を聞きます。
どうして多種多様な生き物が棲めるのか、その理由を4つあげました。
魚は変温動物なので、恒常的に水温が高いところの方が多く棲めるようになり、水量が増えることで生き物が棲めるキャパシティが増えます。
そのため複雑な食物連鎖が形成されるようになるので、たくさんの生き物に出会えるのです。
また、近場の中下流の川は田畑や河畔林なども含め多様な景観がみられるので、それらの景観に適した多種多様な生き物を採ることができます。
水草は水中で二酸化炭素を吸収して酸素を出して、生き物の出すアンモニアなどを吸収して水質のバランスを整えます。
そして、草食性の生き物のエサや産卵や避難場所となります。
このように中下流はたくさんの生き物が棲みやすい環境条件が整っているので、ガサガサには適しているというわけです。
次はガサガサのための川選びのポイントをお伝えします。
まずは川へ降りやすい場所が確保されているところを探してみてください。
直角的なコンクリート護岸の場合、降りるのも登るのも苦労するし、何かあった場合の避難が困難な場合が多いです。
水際まで行き来できる階段などがある場所がよいでしょう。
川へ入るまでに草が生い茂っている場合、マムシやハチの危険があります。
普段から注意して見ておく、歩く時はタモ網を先にして振り回しながら進んでいくととっさの対応が取りやすいです。
避けたほうがいい川は、高い堤防で周囲と隔絶されているような場所と、農業用水や浄化下水の放水口がある場所です。
高い堤防がある川は、遊んでいることを気付ける人も少なく、何かあった時に助けを求めても気づいてもらえない可能性があります。
また、放水口の近くは、放水時に急激に水位が上がってしまうため、大変危険です。
川は自然環境なので絶対安全ということはないので、自己責任だという認識を持って、危険な場所には立ち入らないようにしましょう。
安全に遊べそうな川が見つかったら、次は生き物がいそうな場所を探してみましょう。
身近な川でも生き物が棲みたくなるポイント、ガサガサしやすいポイントがありますので、参考にしてください。
まずは川幅が広すぎないような場所を探してみましょう。
あまり広すぎないほうが、自分がいる位置や全体を把握しやすいので比較的安全ですし、生き物を追い詰めやすく、捕まえやすくなります。
特に川の形が蛇行している場所は狙い目です。
流路が蛇行していると、水深の深いところ、浅いところや流れの速いところ、遅いところで自然が形成されます。
変化に富んだ環境には、それぞれに適応した生き物が棲むのです。
また水草の多い場所は、水質が整い、多くの生き物にとって産卵場所、生育場所、避難場所となるため多くの生き物が潜んでいる可能性が高いです。
川を探すときには、全国の川の情報がまとまっている川遊びマップというサービスが便利ですので、参考にしてみてください。
では、身近な川でのガサガサでどんな生き物が採れるのか、一部をご紹介します。
魚類では、メダカ、ドジョウ、ニシシマドジョウ、タモロコ、モツゴ、フナ、ヨシノボリ、カワムツ、カマツカ、オイカワ、ナマズ、コイ、カダヤシ、ヤリタナゴ、アブラボテなど。
甲殻類では、アメリカザリガニ、ヌマエビ、スジエビ。
爬虫類ではイシガメ、クサガメ、スッポン、ミシシッピーアカミミガメ、アオダイショウ、マムシ。
両生類では、イモリ、トノサマガエル、ヌマガエル、ツチガエル、ウシガエルなど。
中には外来種もいて、法律で捕獲や移動、飼育が禁止されている特定外来生物も多いですので気を付けましょう。
人間の営みによって、人為的に外国の生き物が日本にやってきて、定着してしまった外来種。
生き物には罪はありませんし、どの生き物が良くて、どの生き物が悪い、という差はありません。
しかし、そもそも日本の生態系にいなかったため、生態系のバランスが大きく崩れ、捕食されたり、餌を取られるため、在来種の数が減っています。
ちなみに近くの川にはどんな外来種がいるか、私の経験からガサガサでよく採れる外来種をまとめておきました。
小学生の男の子が大好きなアメリカザリガニや、よく見かけるウシガエルも外来種だと知って驚いた方もいるかもしれません。
外来種の問題をきちんと知って、問題を起こした人間の責任として、外来種を駆除しなければならない事実を家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
近場の川でガサガサをするというと、「街中の川は水が汚いから入るのが怖い」、「濁った川に魚なんているの?」という声もよく聞きます。
考えてみてください。
生き物の宝庫と呼ばれるアマゾン川やメコン川は透き通っていますか?
まるでコーヒー牛乳のように濁っていますよね。
清流は透明であると考えるのはもしかしたら日本だけかも知れず、とても贅沢な考えなのでしょう。
汚れには良い汚れと、悪い汚れがあります。
濁っているからといって良くない川ということにはなりません。
濁りの原因には、泥や砂、植物や生き物の死骸や排泄物、微生物などがあり、これらはよい汚れ(濁り)と言えます。
これらを養分として生き物の食物連鎖が成立し、多くの生き物が住めるのです。
濁っている川のほうが採れる生き物の種類、数は圧倒的に多いです。
服装や持ち物は、以前紹介した記事も詳しくまとめているで、参考になればと思います。
夏休みの最後は、遠くに出かけず、身近な川でのガサガサしてみてはいかがでしょうか。
人混みもないし、なんといっても無料で遊べて、学習の一環にもなります。
近くの川は、タモ網で捕まえられる生き物がたくさんいることが魅力。
雨が降っていたら中止し、天候に合わせて無茶をせず遊ぶようにしましょう。
ガサガサをする川の選び方は
反対に避けるべき場所は
ガサガサで子供は楽しんでくれるか不安だというお父さん、お母さんにお伝えしたいことは、「子どもは生き物がいれば楽しいに決まっている」という私の持論です。
魚でも虫でも、生き物を見つけた時の歓喜、触れた時の興奮、恐れといった感情は、かけがえのない成長、学びに違いありません。