早川いくをさんの「へんないきもの」(新潮文庫)という変わったルックスの生き物を紹介する本を、ご存知ですか。
これはちょっと変わったルックスの生き物を題材にした本で、サンシャイン水族館での企画展でも使われ、連日大賑わいだったそうです。
実は、上記の本の中に出てくるような個性的な生き物は、身近な川でも見つかります。
川では一般的に思い浮かぶザリガニなどのノーマルな川魚だけではなく、見た目がユニークな生き物が捕れることもあるんです。
そこで今回は川で見つけた、見た目が変わった生き物を3つご紹介します。
肉食性で小魚、エビ、水生昆虫、水面に落ちた昆虫などを捕食します。
オスは、ヨシなどの茎にメスが産みつけた卵をせっせと世話をする甲斐甲斐しい一面もあります。
エラにある目と同じくらいの大きさの斑紋が、他の生き物から卵を守る為にパパが睨みを利かせているようにも見えますね。
そのことから「オヤニラミ(親睨み)」という名前がついたとのこと。
同種で複数匹を同じ水槽で飼うと、互いに喧嘩してどちらかが死ぬまで追い詰めてしまうので単独飼育が基本です。
複数匹で飼う場合は大きめの水槽で、竹や流木などを縦に刺すようにレイアウトしたり、水草や隠れ家を多めにレイアウトしたほうが良いでしょう。
他の魚と一緒に飼う場合は、これより大きい魚であれば問題はありません。
人工のエサにも慣れますが、理想はヌマエビなどを捕まえてきて食べさせるのが良いかと思います。
個人的にはその方が発色が良い気がしました。
環境省絶滅危惧IB類。河川改修の影響で生息環境が減ったことにより、激減しています。
本来、中部地区には分布していないはずですが、 観賞魚として購入されたオヤニラミを各河川に遺棄し、その結果繁殖しています。
国内外来種とか、国内移入種と呼ばれて問題となっている魚です。
まだ国内外来種等の問題に無頓着だった頃、中部地区の川でタモ網に入った本種を見て、雄叫びを上げで喜んだことを思い出します。
目の赤さや、エラ蓋の斑紋のブルーの縁取りのルックスが、日本の川には場違な感じでたまりません。
オヤニラミが他の魚を食する瞬間は、エキサイティングです。
じっーと獲物を観察し、追い込み、カツっという音を立てて丸呑みしてしまうのです。
目1つと目の様に見えるエラ穴7つ合わせて八目。
孵化してから4年間は幼生(アンモシーテス)として目もなく、泥の中で過ごします。
植物の腐敗したものや、動物の死骸などに由来するデトリタスなどを食べます。
特筆すべきはその口で、吸盤状でエイリアンの口のようです。
一生を淡水で暮らし、成体になってからは一年足らずで産卵後に死んでしまいます。
孵化してから殆どの期間を土や砂礫の中で過ごすため、飼育しても目に触れる機会はほとんどありません。
その上、成体すると餌を食べなくなるので、飼育しがいがないかもしれません。
また、冷たい水を好むようで、冷却装置などがないと飼育は難しいです。
川でたっぷり観察した後は、そのまま逃してあげたほうがよさそうです。
環境省 絶滅危惧II類。河川改修の影響で、生息環境が減ったことで激減しています。
また、幼体時に食べるデトリタスが減ったり、溜まる場所が減ったことも原因。
一見、ミミズの巨大化したものや、ヘビにも見えなくもないルックスですがれっきとした魚です。
色々な河川でタモ網に入るので、僕としてはどちらかといえばポピュラー種と言えます。
川の健全性を表す指標にはしていますが、可愛らしさがないし、飼っても面白くないので、一通り観察したら逃がしています。
タラコ唇に下顎の出っ張り具合、目の小ささは、憎めない面構えともいえます。
頭部の盛り上がりなどは甲冑を着けた武者の出で立ちのようでもあり、出撃する戦艦ヤマトの様にも見えませんか。
一生を淡水域で過ごす生き物です。
夜行性で日中は物陰に隠れてじっとしています。
とにかく大食漢で自分の体くらい大きな魚でも食らいついて丸呑みしてしまうワイルドな生き物。
その捕食シーンは圧巻で、エビ、カニ、魚、水生昆虫なんでも食べますよ!
厄介なことに、人工飼料は見向きもせず、生き餌しか食べない魚。
飼うことになったら、生きた魚やエビなどを採ってきて与えるしかないのです。
他の生き物を投入して、翌日見てみると共食いにより、生き物の数が半減しているなんてことはザラ。
多種との混泳はほぼ不可能と言えるでしょう。
飼育は根気が無いとなかなか難しいですね・・・。
生息環境にあった河川であれば、だいたいどこでも採れます。
よどみの植生の根元などをガサガサすると、タモによく入りますし、稚魚も可愛いです。
ドンコは、「体長20センチ以下はドンコとは呼べない」と言われるほど、大きな個体は迫力があります。
ドンコが生きられる川は、それだけ餌が豊富であることを示し、生態系ピラミッドの各層の多い「豊かな川」と言えるので環境のバロメーターにもなります。
今回は3種類の魚を紹介しましたが、まだまだたくさんの生き物がいます。
一般的な日本淡水魚のイメージは、地味で楚々として、どれも一緒かと思いがちですが、想像以上にいろんな形態の生き物が川には棲んでいるのです。
ドンコもその一つで、これだけ身近にある川なのに、生物の存在さえ一部しか知られていません。
こうしたブサカワな魚の、あまり知られていないマイナー感が私はたまらなく好きなのです。
ぜひ皆さんも近くの川で、変わった生き物を探して見てください。